証券ビュー

森羅万象

好運の女神は どちらにつくか (2015.05.13)

昭和の風林史(昭和四八年五月九日掲載分)

小豆の基調は大相場型で、押すもよしのところ。
いずれ凄い踏み上げ場面があるだろう。

「いと薄き繭をいとなむあわれさよ 虚子」

46年10月二万一千四百円という高値を付けた小豆、
その日は帯広地方に降霜があり氷結した七日である。

いわゆる〝壮絶な増山相場〟である。
三晶も踏み、近藤紡も踏んだ。

あの相場の今時分は
一万三千五、六百円であった。

相場水準から申せば
46年大相場の五月上旬と同じ水準である。

五月19日に一万五千五百四十円を付け、
千五百円幅の押しを入れて
六月23日の一万六千四百円に向かうのである。

この相場が火を噴いて止まらなくなった出発点は
八月16日、一万四千七百円からのことである。

五月、六月、七月と相場は
五千円と六千円の間で高なぐれ状態だった。

今年は46年の時より二カ月早い三月十日の、
昔で言う陸軍記念日に一万五千三百円を付けて、
いま出直り過程にある。

46年は仕手相場→天候不順→踏み上げ→決定的冷害
というパターンである。

今年は仕手傾向→インフレムード→不順予想
という段階にまで来ている。
そして期せずして五月七、八日。
46年とまったく同時期、同値となっている。

歴史は繰り返すと言うけれど、
相場も所詮(しょせん)は繰り返しに過ぎない。

いま、一万五千五百円などと言えば、
在庫が50万俵以上もあるのに―と誰でも思う。

しかし当時と今とではインフレの度合いにしても、
物の値段が随分違うのである。

また買い主力にしても
当時の買い大手は二年越し長期戦を闘っていた。
現在の買い大手は、ツキというものを持っている。

相場戦線でのツク、ツカヌは決定的要因である。

四斗樽一杯の才能、
大型トラック一杯の資金よりも
サカズキ一杯の好運が、
どれほど勝(まさ)っているかは、
過去のどの相場勝者を見ても歴然としている。

ツク、ツカヌは天にある。
そして周期、サイクルがある。
このツク、ツカナイは年によって
売り方、買い方にも作用している事が判る。
たとえば霜が降りるにも
日曜日の朝と、月曜日の朝とでは、かなり影響度が変わる。

さて今年の相場は、ど
ちらさんの肩の上に乗っかるか。

●編集部注
 黄金週間明けで相場のリズムが歪んでいる。
砦は五月二日の安値にある。

 売り方はこの安値を突き崩さんと売ってくる。

 買い方はこの安値を死守せんとそれを買い拾う。

【昭和四八年五月八日小豆十月限大阪一万二九四〇円・五二〇円安/東京一万二八九〇円・四六〇円安】