昭和の風林史(昭和四八年二月八日掲載分) (2015.02.12)
大幅安は歓迎 相場が若がえる
下げる時は思い切り下げさせる。
小細工は身の破滅。
日柄経過の小豆、一度大下げすべし。
「猫柳水光りつつ暮れにけり 北湖」
小豆相場に対しての総体的な考え方、
いわゆる人気というものは、
要約すると次のようなものだ。
①うかつには売れない。
桑名の有力な買い方が、軍を展開すれば、
これに尨大なちょうちんもつくし、
また買い本尊に近い親衛隊も
強力な戦力を有している。
いうならピカピカの手つかずの
機甲師団が進出してこよう。
これには勝てない。
②さりとて一万三千五百円以上を
買っていくには一万五千円を
目標にしなければ妙味がない。
③まず買って、それから
安ければ買い下がり方針。
④安値を売って高値で踏んだ人は、
阿呆らしくて…という気持ちがある。
⑤踏まずに、安いところを売ったまま、
ウンウンいいながら辛抱していた向き。
ゆるんだところでナンピン売りを
かけてみたいが怖い。
あるいは資金面の都合がある。
⑥さしもの相場も騰勢鈍化、線も暴落型、
値段としても今の時点では充分である、
と知りつつも、
桑名の存在があまりにも大きかったため
売りきれなかった。
⑦当ててきた筋は、利食い売りしては買い、
買っては利食いの回転レシーブで
現在買い値水準は高いものになっている。
玉もふくれているはず。
さて、こう見てくると、市場全般は、
ほぼ強気になってしまったようだ。
売るのが怖い―と思うのが、
そもそも強くなっている証拠である。
人気も相場も強いときは
必ず強い材料が目につく。
大垣の大石吉六氏に言わせれば、
桑名は決して強引なことをしない。
桑名の相場師自身も
①長期方針②天候に勝負
③煽ったり叩いたりはしない
④無理はしない―と言う。
あのままだと相場は
大材料が出るまで高水準で膠着していただろう。
しかし、相場は日柄を一日過ぎれば一日食う。
強気増大→日柄経過→高水準とくれば、
必ず下値を取りにくる。
その時、桑名筋やピカピカの機甲師団が
出撃してくれば、これは相場をこじらせて、
一時的な効果はあっても
後でその無理がたたる。
下げる時は下げさせてしまうのがよい。
●編集部注
昨日の強気は今日の弱気。
相場は恐怖と欲の戦い。
ガンガンの強気を唱えても、
押しで逃げてしまう。
恐怖が勝る瞬間である。
1973年の小豆相場は恐怖に耐え、
信念を貫いた相場師しか勝てない。
夏から秋にかけてこの市場は死屍累々と化す。
【昭和四八年二月七日小豆七月限一万三一六〇円・一四〇円安/東京一万三二五〇円・八〇円安】