証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四八年二月六日掲載分) (2015.02.11)

大勢買い一貫 大事は糊塗せず
目先の事を考えなければ
買いの一本道の小豆だ。
安ければ安いで買う。
キメの荒い方針でよい。
「春浅き雨にぬれゐし京菜かな 暮雲」
天下をもって天下を見る。

相場をもって相場を見る。
相場は相場に聞け。
相場を相場に聞くならば
遠い安値に売り玉ある人は
この相場、日柄の面で限界に来ている。
下げる時は気崩れである
と判断しようし、
買い玉持って強気している人なら、
なあに若い相場だ、
下げても逆襲斬り返しの鮮やかなこと。
一万五千円目標―と言う。
相場を相場に聞く時は
無心でなければならないが、
なかなかそうは、いかないもの。
どうだろう。
大勢的には一万五千円であり、
天候相場に〝もつれ〟込めば
一万七千円の絵も書ける。
大豆が一俵一万五千円じゃないか
―ということになる。
(その大豆も崩れだしたら早いだろうが)。
筆者は、この小豆、大勢的には、
どこを買っても良いと思う。
そして三百円安、五百円安、
時にS安という下げ場面を待って、
さらに仕込む。下げは怖くない。
しかし、水準が高いだけに
一本調子の上昇は考えないほうがよい。
巧者なら湧いて値が伸びきったところを
軽く売っても、充分に泳げる。
騰げ相場を売って儲ける事も出来るし、
下げ相場を買って取る事も、巧者なら可能だ。
三軍の災いは狐疑より生ず(呉子)と言う。
大事は糊塗せず。
今の相場は、ああだ、こうだと
細かいことは考えない。信念。
大局の方針を建てたら一本道。
疑わば、すなわちするなかれ。
した以上は疑うなかれ―である。
従って、暴落よし。
急落また楽しからずや。
時にS安を欲し、買い場を求めん。
道は六百八十里、長門の浦を船出して、
はやふたとせを
ふるさとの山を遥かに眺むれば―である。
手亡はどうか。
手亡も押し目買いである。
先般付けた高値二ツを買い切れば、
ふっ飛んでしまう相場である。
この相場もキメ荒く、買いの一本道。
安ければまた買う。
そしてさらに下げれば
食いついて離れず買っていく。
相場の資金と凧の糸は出しきるな。
手もとにゆとりをもって強気する。
ともかく、来月は需要期である。
安ければ買いたい人ばかりの小豆である。
安心買いも可なり。
●編集部注
風林節全開である。
「筆が乗る」というのは、
こういう文章の事。
 
こういう時は相場に自信があるか、
不安な要因を筆の勢いで
打ち消しているかのどちらかだ。
【昭和四八年二月五日小豆七月限大阪一万三四〇〇円・一六〇円高/東京一万三四三〇円・二三〇円高】