昭和の風林史 (昭和四七年十一月十七日掲載分) (2014.11.18)
急落の可能性 上伸急なだけに
上伸があまりにも急なのでこの相場は短命であろう。
煎れが一巡して出尽くせば急反落しよう。
「柿落葉うつくしき紅みな伏せて 青邨」
小豆は期近限月に煎(い)れが出て急騰した。
しかし利食いも結構出ている。
期近二本の大幅上伸で全限月のサヤが、
同ザヤから逆ザヤになった事は、
今後の相場を考える上において注目を要しよう。
今回の急進相場は産地の出回り遅れ。
需要期入りで輸入小豆に買い気が集中。
おりからホクレンの30万俵タナ上げが
心理的に効果をもたらし、
八千五百円大底という全般的な人気が
穀物市場に明るさをもたらし、
毛糸相場や他商品からの投機資金が流入。
八千五百円以下を売り込んだ玉が煎れてきた―。
端境期の相場でもないし天災期の相場でもない。
あくまで需給相場である。
しかも新穀の出回り期であり、
交易会で契約も出来て早ければその分が年内に入荷する。
ホクレンが30万俵をタナ上げしたところで
凍結した品物は、いずれ放出されるのだ。
いまの相場は
一時的な品ガスレによる短命な上昇である。
確かに八千円割れの値段は下げすぎであり、
八千五百円あたりは調子に乗って売り叩いたきらいがある。
そのとがめが今出ているのだとすれば、
九千五百円→七百円→一万円必至説で飛び付く事も、
需給事情無視という、とがめが、
あとから出てくるだろう。
当限高にしても、納会までに日数があって、
煎れが先に出てしまった取り組みは、
十二月が需要最盛期とはいえ、
結構品物は渡ってくるし、
逆に納会接近に伴って安いかもしれない。
人々はちょっと勘違いしているのではないかと思う。
いや勘違いではなく、
それが相場の人気というものであろう。
少し環境が明るくなると
それがどこまでも明るくなっていくような気がする。
材料も、
注文をつけたように次々と支援するようなものが出てくる。
いよいよ市場は燃え、
売り方は辛抱出来ずに踏んできて急騰する。
どこで燃え尽きるかである。
煎れがある程度出尽くし、一般大衆が思い切り買って、
そして値段に刺激された現物がゆっくり動き始め、
そのあとは幾ら買っても上がらないという事になって、
初めて暴落する。
●編集部注
「この相場、おかしい」と思っている事であろう。
相場界では、今も昔も日常茶飯事の話である。
「あれだけストライキで生産が止まって
品薄なのに下がるのはおかしい!」
こんな気持ちで、
筆者自身もある銘柄の記事を書いた事がある。
【昭和四七年十一月十六日小豆四月限大阪九六八〇円・二八〇円高/東京九六三〇円・一八〇円高】