昭和の風林史 (昭和四七年十月十一日掲載分) (2014.10.14)
窓を埋めよう 当面逆張り方針
このあたりから上の値は
売って妙味のある小豆相場だ。
目先的には逆張りである。安値は買い。
「あかあかと日はつれなくもあきの秋 芭蕉」
日曜日、
神戸穀取の開所20周年式典と祝賀パーティーは
快晴にめぐまれ神戸オリエンタルホテルで盛大に行なわれた。
そして中一日休日を置いてきょう11日は
東京穀取が開所20周年のお祝い。
取引所首脳や業界関係者は
新幹線で行ったり来たり、来たり行ったりで
六日の大穀祝賀から、いささかパーティー疲れ。
相場のほうはどうか。
小豆は大きな窓をあけて九千円台に乗せたけれど、
ここから上となると出盛り期だし
15日からの広州交易会も注目しなければならぬ。
しかも小豆輸入のワクは五百万㌧ほど残っている。
九千円以上の相場なら、再び売りヘッジされることであろう。
相場としては完全な大底打ちであることは
万人認めるにやぶさかでない。
が、九千円の場合、それが限月によって
千円棒を立てたとはいえ、これを九千三百円→五百円と
買っていくには、まだ相場が〝青い〟だけに、
たえず急反落の危険がつきまとう。
確かに取り組み面では高値因果玉が整理されて
しかも安値を、かなり売り込んでいた。
だからこそ山梨の積極買いといえ、
各市場ともS高出来るほどの急騰を演じた。
その限りでは八千五百円以下の小豆相場は、
大底圏で、この圏内で売った玉は救われないだろう。
しかし、その売り玉が踏み上げてくるという要因は見られない。
大豊作。出盛り期。輸入物の在庫豊富。
交易会の友好的成約―。
高ければ売りあがればよいという気楽な相場だ。
九千円前後の相場つきを眺めて、
これが頭重く、軟弱となれば、
すかさず投機家は売ってこよう。
仮りに、この辺で値段が締まったとしても、
九千五、七百円まで糸を長く繰り出して売っていけば、
相場は俵の重味で疲れてくる。
高ければともかく売っていけばよいのだ。
安くなれば、もちろん、大底の入っている相場だから
深追いせず、八千四、五百円あたりは利食い。
あと安ければ買いさがり。
いずれにせよ当面は逆張りである。
明けた窓を埋めてしまえばまた強気すればよい。
●編集部注
ここ連日パーティーの話題が出ている。
景気のよろしいことで。
恐らくこの文章を読んでいる二十代、三十代にはピンと来ないだろう。
なにしろ、今これを書いている四十代がピンと来ていないのだから。
【昭和四七年十月十日小豆三月限大阪八九九〇円・変わらず/東京九〇二〇円・一〇円安】