証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四七年七月二十六日掲載分) (2014.07.29)

天神底を構成  出直り案外近し

今のような状態の相場が今週いっぱい続くと
大底を構成して、出直りにつながるであろう。

「みづうみの夕焼消えし松江かな 米城」

今週、このあたりで相場が小高下していると、
底が入ってしまうだろう。

ケイ線も、
実体の短い、寄り引けが、くっついた、
いわゆる尖(こす)んだ格好で、
ナベ底を型どろうとしている。

値段のほうも、気分ほど下げたわけではない。

短い線ではあるが、その一本一本は、
売り方にとっても、買い方にとっても、
全力を投じて、その結果
記入されたものであるからおろそかには出来ない。

やはり、天神底である。新値足四十二本。
騰げにしろ、下げにしろ
新値四十二、三本は天底をつける。
いまのところ、
これと申して買い材料が見当たらないけれど、
相場というものは、
必ず不思議なぐらい底がはいると、
買い材料がどこからともなく出現する。

値段にしても下げるものなら、
とっくの昔に大下げしているはずだ。
やはり、日柄で下げ相場の末期に来ているのと、
価格の面できつい抵抗ができている。

そして取り組み面も、安値で売り込んだ格好。

買い手も手一杯買っただろうが、
売り方も、やはり充分に売った相場である。
買い方は、半ば横になって天まかせ、運まかせ、
あとは日柄の目を数えるしかないと心境。
それは一種の達観でもある。

反対に売り方は、
ここにきてコツン、コツンとする底堅さに、
なんとなく焦りの色が見えるのだ。
安いところは手仕舞おうとしている。
そうしている間にも相場は自然の大底が出来てしまう。

日柄で大底を打ったあとの相場は、
存外売り方が自分の手で自分の首を絞めたりするものだ。
売るから反発する。
それは大天井圏で買い方が買うから暴落するという現象と、
まったく同じである。
ものの三百円、今の小豆が反発すれば、
どのように変化するか手に取るように判るのだ。

気になる産地の作柄はまちまちだという。
普通なら大豊作の声が聞かれてよいのだが、
いまだ平年作、あるいは八分作が言われているゆえんも、
案外、作況に波がありすぎるからであろう。
これから産地の天候は崩れるところにくる。
相場の出直りは近いと思う。

●編集部注
相場を読むより日柄を読めと昔から言われる。

素人は相場の縦軸に目を奪われがちだが、
玄人程相場の横軸に注目する。

大きなサイクルは、より小さなサイクルを内包する。
しかし大サイクルの終盤では、
内包する小サイクルが延長、短縮される事が多い。
これが日柄を読む上での注意点だ。

【昭和四七年七月二五日小豆十二月限大阪九八四〇円・一〇円高/東京九八四〇円・四〇円高】