昭和の風林史 (昭和四七年六月二十三日掲載分) (2014.06.27)
総弱気の咎め 当然の反発場面
これだから相場は面白い。
総弱気になったら反発した。
しかし大きく戻すほどの力はなさそうだ。
相場は下がるばかりでは面白くない。
やはり適当に戻してくれないと興趣も湧いてこない。
六月新ポから二千二百円もダラダラと
戻りらしい戻りもいれずに下げっぱなしでは
買い方は全くよいところなしである。
満目蕭条として弱材料ばかりに取り巻かれていても
相場は戻す時には戻すものだ。
そして戻せば材料らしいものが後からついてくる。
曰く「海員ストの影響で中国小豆が
六月には一俵も陸揚げされないかもしれない」と。
曰く「天候相場は九月まで続く。
去年も今どきまではほぼ平年並みで経過したが、
七月以降の低温で大凶作になったという身近な例もある。
まして二十日に発表された三カ月予報を見ると、
今年の盛夏の好天は長続きしないし、
早冷傾向のおそれもある。
となればまだまだ豊作と決めてしまうわけにはゆかない」など
買い方に味方するようなことがなんとなく出てくる。
そうすると期先の一万円割れは買っておけば
七、三で分があるというような理屈にもなるし、
売り方はシコりこそばくなって利食い急ぎとなる。
21日の急反発は材料があってのものでなく
相場の自律戻り。
当然戻す場面に値ごろがきていたからだろう。
もし自律戻りにタイミングよく材料、
さしずめ集中豪雨とか台風とかが、
ひっつけば、本格的な立ち直りとならないこともないが、
そうそううまくは問屋がおろすとも思えない。
現在の作況が続けば大幅増反の影響もあって
道産だけで百五十万俵は堅いといわれる。
それに府県産をあわせると二百万俵近いものとなろう。
新穀年度へ繰り越される在庫をいれると
来年は小豆を輸入しないでも
需給は均衡を保つことが考えられる。
そうなると四十三年以来
数年続いた輸入小豆主力時代が終わりを告げるだろう。
小豆相場についてのこれまでの考え方を
改めねばならぬ場面もあるかもしれない。
それは先のこととして
目先、この戻りにどう対処するか。
昨日も書いたように
大きく出直ってゆくなどと思ってはいけない。
しかし下がるところは買いたいと考えていたが、
案外早く反発した。
安値から五~六百円も戻ればついては買えない。
むしろそれ以上高いところは
コツコツと売り上がってゆきたいところである。
●編集部注
宗右衛門町で
悪魔と魂を売る契約でも交わしたのか。
悉く冴えている。
【昭和四七年六月二二日小豆十一月限大阪一万〇三二〇円・六〇円安/東京一万〇三二〇円・八〇円安】