昭和の風林史(昭和四七年六月八日掲載分) (2014.06.13)
落魄の買い方 総投げの時代へ
天候相場の出足は順調で、
霜一発は空砲になりそう。
相場は下値を残している。戻りは安心売り。
「草の葉の膚さす梅雨の入りけり 葛彦」
五月25日の安値に近づいてきて、
安値を切ったら①売り方の利食いが出るか
②買い方の投げが出て安いか
③値ごろによる新規買いがはいるか―
そこのところに関心が集まる。
しかしそれも、産地の天候次第である。
需給面=心配ない。
取り組み面=買いつき。
人気面=戻ったら売ってやろう。
従って、値ごろというものを考えなければ。
相場環境は売りに分がある。
ところが、非常に売りにくいのだ。
ここから売る以上は、先限の一万五百円以下を考え、
そして九、十月限の九千五百円を目標にしなくてはならない。
ところが、ケイ線では、そういう値段を想定するのが困難である。
むしろ八、九、十月限の一万円割れは
〝買って勝負〟してみようという人が多いのではないか。
そのような下値にある潜在的抵抗力を、
因果玉の投げという圧力(圧迫要因)が、
どこまで効力を発揮して、値段を下げさせるかである。
①五月25日の安値前後はモチ合いにはいる
②いや止まるだろう
③案外この調子(天候予想)では総投げにつながるはずだ。
と、迷うけれど、
現在、最も判りやすく、およそ絶対的であるといえることは
〔戻したところを売る〕行為ではなかろうか。
安値、安値は売り玉を利食いしていく。
建て玉を軽くする。資力にゆとりを持たせる。
そうしておいて待つ。
仮りに利食いしたあと棒で下げる投げがはいったとしても、
その時は「充分取るべき利を、勝を急ぎ取り逃したる時、
これは笑って済ませる事なり」と
本間宗久伝にもあるように、未練を残さない。
北方天気図では、まず霜の心配は解消されている。
霜一発は空砲に終わりそうだ。
それで、15日の別れ霜、このあたりが買い方の決断の時期で、
発芽→成育順調を伝えれば、
市場は、あきらかに豊作人気が充満し、
取引所相場は閑になるし、
値はジリ貧だし因果玉はさらに苦しい立場に置かれる。
どんどん下がる相場は
その下げの反動を利用して急騰することもあるが、
ジリ貧で下げていく相場は
まず反騰高など望めず、
大底を構成するにしても
ナベ底を這う型になるものだ。相場は下値を残している。
●編集部注
後になれば、相場など何とでもいえる。
先に言って、それを有言実行できるかが全て。
売りと見ていても、
こういう時ほど、不思議と下値が固そうに見えて、
気持ちが揺らぐものだ。
【昭和四七年六月七日小豆十一月限大阪一万一三四〇円・二八〇円安/東京一万一二〇〇円・三八〇円安】