証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史   (昭和四七年四月二十二日掲載分) (2014.05.14)

売り方針不変 噴き値袈裟がけに

相場は、どの時点をとっても悪い。

売り一貫でよいと思う。

戻すほどの売りやすいのである。

「ふみきりに海の音きこゆ豆の花 万太郎」

誰も彼もウロウロさせられている。

正確な情報が入手できるまでは混乱状態である。

19日はストップ高。次の20日はストップ安。

そして21日(金)がまた急反発。

契約は出来ないだろう。

いや数量をまとめれば価格は勉強すると、

むこうは言うらしい。七、八千㌧出来そうだ。

そのたびに、相場は噴いたり、崩れたりする。

筆者は、戻り売りでよいと思う。

確かに、水準が下にあるだけ動きも敏感になる。

それは、天井圏における鋭敏な反応のように、

針一本落とした音にも飛びあがったりする神経の

ささくれた状況といってよいだろう。

この現象を見て、底値だ―という確信を強める人も多い。

あの高値から半値ではないか、

しかも天災期が近い、

買い下がればモノになる―という方針の人。
筆者は、そうはとらない。

①順ザヤは、さらに開くだろう
②台湾と韓国の悪役がいる限り受けても不利だ
③交易会で数量は出来ると見る
④仮りに出来なければ北京商談に商売の場が移る
⑤供給面に不安はない。

しかも相場的には、ストップ高→ストップ安、

これが感心しない。

線型は先限の九千五百円を示している。

判りやすい相場だと思う。

判りやすいということは、

戻りを、売り上がっていく。

必ずまた崩れるのである。

京橋は脇田米穀の阿竹専務は

黄色いシャツを着ていた。

ひっきりなしに情報が入り、情報を伝える。

冴えた顔でもないし冴えない顔でもない。

舞台裏の情報センターのその中心にあって、

掴みかねている。

難しいところのようである。

模索する穀物市場。

映画の題名なら『四月の十日間』とでもいうべきか。

情報を追うと、情報にふりまわされる。

相場は相場に聞くしかないのだ。

いまの一連の動きは

万円割れ時代の陣痛みたいなものと思う。

全限万円割れ。

それにはやはり抵抗がある。

無痛分娩ということもあるが、

やはり陣痛は自然の姿である。

大衆も強気になり、

因果玉を持っている買い方も

成り行き上、強気を通すけれど相場は悪い。

●編集部注
相場にコンセンサスは存在しない。

ただ価格の〝慣れ〟はあるだろう。

買い方にとっては見れば、

万円割れは突撃の合図でもある。

その後この価格に皆が慣れると、

上にせよ下にせよ相場は次の場面を目指すのだ。

【昭和四七年四月二十一日小豆九月限大阪七〇円高/東京三三〇円高】