昭和の風林史 (昭和四七年三月一日掲載分) (2014.03.27)
八月限は売り 工作場面を狙え
基調はまだ下降中である。
新ポ八月限は売り方針。
買い方が買っている間は悪い。
「浜町と聞くさえ春の夕心 虚子」
28日の北浜は軽井沢の連合赤軍を包囲陣が攻撃するNHKテレビ現場中継で
相場の方は全くお留守になって
後場の証券市場はサッパリであった。
商品市場の方は後場休会で
事務所や喫茶店のテレビに釘づけされた。
関西電力では攻防戦が烈しくなった午後二時ごろから
最大電力消費量千十一万キロワットを記録したそうだ。
月末29日。前日、気勢をあげた買い方は手がでない。
「あさま山荘」落城に歩調をあわせたようである。
買い連合軍を遠巻きに包囲していた売り方は
やはり相場は戻り売りであると意を強くする。
三月新ポ。六カ月先の向こうに八月限がたつ。
買い方はなんとかしてこの長すぎた戦いを
天災期までひきずりこんでもつれようとする。
夏の天候が豊作型ならどうなるか。
それはもういうまでもない。
まさに背水の陣である。
気象台関係者にいわしむれば、
今年は42年型だそうである。
42年の北海道小豆は百五十四万俵の収穫でもちろん豊作だった。
だがしかし、天災期限月がかならずしも買いとは限らない。
さて今日、山女魚(やまめ)解禁。
釣マニアの山梨商事の霜村昭平氏は
単身雪の残る渓谷をわけいって
山女魚を追っていることであろう。
彼はまだこの相場、
買い場にきていないという見方をしていた。
一般に八月限に対しては押し目買い気分が強い。
しかし相場はその人気の裏にある。
八月限がまだ遠い先の限月である間は売りで勝負はできよう。
期近二本。これは買い方にまかせておけばよいのだ。
では下値の目標をどのあたりにおけばよいのか。
申すまでもなく先般の安値を割ったあたり、
即ち一万二千八百円である。
まだ投げきっていない玉が多いし、
反発するとどうしても買いたくなる。
一月十二日にかけてのあの下げの場面では
市場全体が総弱気に包まれたけれど、
今あのような総悲観の空気はない。
むしろ安値は買いたい人気が強い。
だから駄目である。
買い方が陽動して強く見えるところは
すかさず息の切れるのを待って売る。
29日の相場はそれであった。
●編集部注
展開に夢や希望がないと、相場は発展しない。
トレンドは人が作るもの。
当時の動きと上記文はそれを物語っている。
【昭和四七年二月二九日小豆七月限大阪七〇〇円安/東京七〇〇円安】