昭和の風林史 (昭和四六年十二月九日掲載分) (2013.12.25)
押し目買い!! 棹尾の一振が…
地合い軟化に伴い急激に弱気がふえた。
歓迎すべきことである。棹尾の一振を期待。
出回り遅れを実証するかのように
十月の小豆移出検査高は極端に少なかった。
五万二千俵と昨年のほぼ三分の一である。
年内の出回りは四~五割といわれるが、
いまだに〝俵の重み〟を感じさせないあたり、
四割もおぼつかない。
もっとも楯の半面で出回り遅れ、
すなわち、年が明けて持ち越した荷が
圧迫する―の理屈も成り立つので、
それほど大層に考える必要はない。
足りなければ足りないまま何とかなるもので、
相場の方もひと相場終わってしまえば
〝理窟と膏薬はどこへでもつく〟の類で、
材料なんてのは往々にしてつけ足しになりがちである。
年内は余日もないが別に深く考える必要もないところだ。
安ければ買う。
それだけのことだ。買い方も
このまま突っ張り通せば相場はほっておいても上にいく。
それを中国小豆の年内入船予定がどうで、
渡しに間に合うのは―、そして荷動きがどうのこうの、
あげくのはてには来年の三~四月は輸入ラッシュだからと飛躍する。
来年のことを言えば鬼が笑うというものだ。
来年のことは無事、大納会を終えホッとひと息いれたのち
じっくり検討すればよいことで、
いまは下げようのない相場を強気することに専念すればよい。
間違っても流言蛮語に惑わされたりしないことだ。
相場もここでジンワリと地合いを弱いふうにみせれば、
てきめん売りの効果があとに出よう。
棹尾の一振なる語があるが、
そのお膳立てはととのってきている。
まだ見もしない中国小豆の新穀のつなぎが怖いのなら、
相場を張るときがない。
強気でいくところだ。
下手に出て頼む態度をみせれば
図に乗ってわがままいうのが人情の常。
いうところの「雇えば乞食も冷飯食わぬ」―である。
すでに大底が入り二番底(ダメ押し)もいれた。
たとい垂れ込んできても五百円押しさえむずかしい、
アヤ押しにとどまるはずだ。
弱気の多くなったのは歓迎すべき現象である。
●編集部注
大納会に向けて、含み損の解消売りが一巡したり、
大口の化粧買いなどから相場が上がるとされるアノマリー
「棹尾の一振」は、はたして小豆相場に適用されるのか?
実際に調べてみた。
大納会に向けて上がるなら、月足で12月は陽線になっている筈。
そこで、過去42年分の12月相場の陰陽を数えてみる。
陽線は19本、陰線は23本で、確率的には残念な結果となっていた。
【昭和四六年十二月八日小豆五月限大阪三〇〇円安/東京二六〇円安】