昭和の風林史 (昭和四六年十一月二十二日掲載分) (2013.12.11)
押し目買い!! 年末に大相場が年末大納会に笑う奴が勝ちである。
ふり返れば鍵屋の辻の決闘みたいな売り方、買い方であった。
小豆相場の大勢は一番底確認。 買いさがり方針である。 下値は判ったのであるからそのつもりで建て玉していけばよい。 目先は、週明け、押し目がはいるところだ。 二日続けてのS高による利食い押し。それが相場の定石である。 ケイ線を見ていると本当に絵に書いたように見事である。 まるでケイ線入門の教科書にあるような線である。 月末も近づき、早いものでもう来月は師走だ。 筆者は年末相場を期待するものである。もうその気配が相場に出ている。 判りやすくいこうと思うのなら三、四月限の押し目を買っていけばよいだろう。 押し目をつくらず週明けなおも高ければ、 これは短命な上げに終わって、必ず反落してくる。 巧者は売ってみるのもよいが、その売りは身軽に逃げなければなるまい。 下げる時にあけた空間窓。六千円→六千三百円にある。 その上が七千百円→七千四百円にもある。 三月限、四月限一代の日足を見れば判る。 年末相場はこれを埋めに行くであろう。 先限の五千五百円以下の値があれば買っておきたい。 勝負どころは十二月二十日の農林省発表(作柄)である。 五等検を含めて七十一万俵~七十五万俵という数字が出ればS高である。 買い方主力は輸入数字を克明に計算して大局的需給をたえず考えている。 ここでその数字を並べても読者は興味がないだろう。 なぜならば、売り方には売り方の計算の仕方があり見方があるからだ。 ともかく十一月の13日に底が入った。去年は十一月の10日である。 底が入った相場は馬鹿になって黙々と買ってさえおればよろしい。 材料なんか本当はどうでもよいのである。 勝手に好材料が出てくるものだ。 思えばひどい大下げ相場であった。 売り方もやられ、買い方もやられ、 まるで鍵屋の辻の決闘であったが 年末大納会に笑った奴が本年の勝利者である。 ●編集部註 この項目を担当していると、勉強になる事が多い。 相場格言を調べていて「格言」というものの定義にたどり着く。 ことわざと格言とでは、バックボーンが違うのだとか。 庶民の生活の知恵から出てくるのがことわざで、 過去の偉人や聖人、古典に由来するものが格言なのだという。 成程なぁ。 「曲がり屋も、格言残し聖人に」。 【昭和四六年十一月二十日小豆四月限大阪九〇円安/東京一〇円安】 |