証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四六年十一月十九日掲載分) (2013.12.09)

一両日要注意 重要な〝フシ〟へ

東京市場で山梨買いが目につく。

下げ一途の相場も

大きな〝フシ〟にぶち当たったのかも知れぬ

十七日の引け際にかけての急落はどう考えても解せない。

まことしやかに韓国産小豆の入港や、

台湾小豆の安値(一部で㌧当たり三百三十㌦)成約が

言われたりする。

だがはたしてそうだろうか。

三百三十㌦といえば円換算一万円以下のものである。

定期水準に直すと一万二千円台のものだ。

なるほど輸入筋が伝えるところでは、

ことしの台湾産は作付け増の上に豊作で

このため一万㌧の輸出余力があるという。

交易会で中国に先を越された台湾としては、

少々値下げしてでも…

という気になることは察知できるが、

四百㌦以上の高値を突っ張っていたものを、

一挙に三百三十㌦で安売りしてくるだろうか。

真偽はともかく〝ためにする〟デマ情報、

根も葉もない噂というものは

波乱相場にはつきものである。充分に心したい。

一方、韓国小豆の入港だが、

量的にはとるに足りぬもので問題にするほどでもない。

しかし新安値をつけることによる人気、

取り組みの変化―という事実だけは見逃せない。

〝新安値〟―動揺を誘うに充分な響きである。

因果な玉を抱いて辛抱に辛抱をかさねている人でも

遂に投げてしまうのも、往々こういう時で、

逆にこうした心理を見越して意識的に〝利食い場〟を作ったり

あるいは〝ふるい落とし〟を行なう巧妙な手口も

しばしばみられるものだ。

相場の方は前日の下げ幅を埋めるに充分な反発である。

下げたことにより相場に〝はずみ〟がついたのか、

いやそれだけではあるまい。

久しぶりに商いが伴っての上伸である。

目についた手口といえば、東京市場における山梨買いである。

前場一節で一~四月限を二百余枚、

二節でもほぼ同数の買いの手を振っている。

只事でない熱の入れようだ。機をみるに敏な同社のこと、

相場付きの変化をいち早く見抜いたのか、

はたまた人の知らざる強材料が掌中にあるのか、

それとも年間需給など総合判断に立っての買い進みか―

その辺のところは判然としないが、

いずれにしろ、山大と呼吸を合わせてのものだけに、

他市場にも少なからず影響を及ぼしそうだ。

相場は重要な〝フシ〟に差し掛かっているのかも知れぬ。

●編集部注

昭和四六年十一月中旬の日足を見ると、

大きなマドが二つ見てとれる。

マドは通常、埋まれば目先の流れを変える。

その一方で、跨ぐようにまたマドを空けて反転すると、

そこは大天井や大底の時間帯と成りやすい。

同年十月初旬の、大陰線などがその好例である。

【昭和四六年十一月十八日小豆四月限大阪五九〇円高/東京六一〇円高】