昭和の風林史 (昭和四六年十一月五日掲載分) (2013.11.22)
底値圏に達す 自律反騰の番だ
さしもの小豆も底入れしたように感じた。
自律反騰で下げ幅の三分の一戻しは可能な相場だ。
「鶏頭伐れば卒然として冬近し 元」
悪い悪いの手亡相場が値段にとどいて、
お先に底入れ型となっている。
手亡の安いところは実によく売り込んだ。
しかし相場つきは数日来なんとも底堅く、
売っても下値は取れない感じだった物には
それぞれ値ごろがあって、一時的人気で下げすぎても、
時がくれば自然と復元する。
その手亡であるが大きく戻せば再び売られようが、
今回の下げで下値の目途がついただけに
①悪材料の折り込み②因果玉の整理進む―で、
あとは日柄をかけての底練りとなるだろう。
一方、小豆のほうもさしもの恐慌相場も末期にきて、
値段が固まる段階にはいっている。
大きな買い玉も投げることによって底入れ条件は揃う。
輸入小豆三万㌧、あるいは四万㌧説で、
狼狽と、意趣返しの叩き、
商い伴わずの、まさに真空斬りという下げであったから、
これも大きく下げ過ぎの、行き過ぎが見られた。
さてここからであるが、先行き需給面を、
どのようなところに線を引くかである。
市場の弱気筋は中国小豆や台湾、韓国小豆など合計して、
すでに供給面に不足なしという計算だから
一万五千円傘、一万二千円底―
という極端に安い見方をしているが、
忘れちゃいませんか?といいたいのが北海道の凶作である。
今もって十勝の小豆の集荷が10%程度ということは、
なにを意味するかである。
生産者も二万円相場を見てきているだけに、
一万六千円では積極的に売ってはこない。
中間地帯がよかったというけれど、
その出荷状況を見ていると、
売り方の騒ぐほど、よいとは思われない。
ともかく交易会が終わるのを待って、全体の需給関係を掌握し、
買い方の陣型立て直しはそれからでも遅くはないだろう。
それにしても相場としては下げ幅の三分の一戻し、
六千円下げの二千円反発は自律的にも期待できるし、
案外きょうの在庫発表などをキッカケにして
地合いが急変することも充分予測出来る。
相場は底入れしたと判断した。
●編集部注
お客様が夢を見るのは自由だが、
夢を見せるのは時に商品先物の営業マンにとってリスクが生じる。
特にお客さんが曲が っている時はなおさらだ。
かくも長き下落に、買い方は反騰の夢を見る。
新規買いの夢もあろう。
しかし大事なのは、相場が逆に行って夢から覚めた時だ。
営業マンがここでまた夢を見せると、大概その夢は悪夢になる。
いくさは、退却戦が一番難しい。
これだけの下げの後、相場巧者達の退き方を、とくとご覧あれ。
【昭和四六年十一月四日小豆四月限大阪二一〇円安/東京九〇円安】