昭和の風林史 (昭和四六年九月二一日掲載分) (2013.10.10)
大暴落は必至 脳天カチ割れ!!
一万円の手亡なんて使い道がない。
必ず大暴落する。叩き売れ。
「女来て墓洗ひ去るまでの鳩 波郷」
小豆市場から投機資金が
他商品へ、勢いをなして流出している。
そしてまた手亡の相場へも流れている。
手亡相場は一万円台に乗せて開所来の高値になった。
商品価値として一万円の手亡の使い道があるのかどうか
疑問であるが、投機の対象、
すなわち、今ここでは、博打の道具として、結構通用する。
大手亡豆などという豆は
使用しなくても済む豆である。
輸入白系豆が、いずれのウズをなして入荷してこようが、
今は狭い市場で腕力が強い奴が価格を操作しての相場だから、
一万五百円くらいには、持っていける。
いうなら小型の小豆相場である。
しかし、長い目で見ると、
お調子に乗っている買い方の足もとを、
必ずすくわれる時がくると思う。
輸入は十一月限納会までには間に合わないというけれど、
次のように考えると
今の手亡は売り上がりでよいし、崩れる相場だ。
①消費が止まる。
②十二月限以降は輸入物がウズを巻いて入荷しよう。
③北海道産大手亡は、収穫期にはいる。
手亡は凶作ではない、八分作だ。
収穫したものは必ず出回る。
④輸入商社は電光石火輸入作業を進めよう。
定期市場の高値が刺激した。
⑤新穀手亡は、
高く売れる時期に定期へヘッジされよう。
⑥買い方は現物が欲しくて買っているのではない。
⑦納会では渡し物も、かなりあるはずだ。
市場では、お客さんはよく売ってくるというが、
花札の札をめくるようなつもりの博打で買っている人たちも多い。
またストップ高の連続は異常であって、
必ずこの反動は出るものだ。
山高ければ谷深し。
古今東西どのような相場でも
天井すれば大暴落する。
あに手亡のみが天まで伸びようか。
小豆が山を越した。小豆が崩れてくるだろう。
もとより強弱なしの小豆であるが、
すでに力を出しきり大天井している。
それがすぐに崩れず高値に張り付いているとしても、
出来秋消費停滞、
輸入刺激という下げ要因が累積してくる。
小豆は取り組みが、ほどけたから必ず大暴落してくる。
買い方が支えても、また新規に売らなくても、
そして霜が降っても下げる時は下げる。
手亡も大暴落する相場になった。
●編集部注
小豆に「赤いダイヤ」という異名がついたのは昔の話。
手亡とは白いんげん豆の事。
文中にも白系豆という記述がある。
小豆同様、北海道で栽培される農産物で、
ここで登場するのは、恐らく大手亡相場であろう。
シカゴ穀物市場で取引される大豆やコーンは、
IOMといって産地が同じ。
それゆえ天候などの変動要因は同じになる。
赤い小豆と白い大手亡も、
このIOM大豆とコーンの関係と変わらない。
北海道か五大湖周辺かの違いだけである。
小豆との鞘取りに使用していたという話は聞いた事があるが、
実際に手亡相場を張った人は、もう残り少ないと思う。
【昭和四六年九月二十日手亡十一月限大阪一万〇一九〇円・五〇〇円高/東京一万〇二六〇円・五〇〇円高】