昭和の風林史 (昭和四六年九月八日掲載分) (2013.09.27)
未だ天井せず 新規買いもよし
この小豆相場は、とんでもないスケールである。
押したところは、すかさず買うしかない。
「高梁や乳房持ちたる石仏 緑童」
水準が異常に高いため波動も
それだけ大幅になってくるのは仕方がない。
そのたびにチャブついていたら、
結局ふらふらにされる。
さて、ここで考えかたを整理してみよう。
①小豆の作柄指数は50~69%。
この先、これよりさらに悪くなる可能性はある。
降霜。凍結。降雪。病虫害―など。
その時、そのニュースで
相場は暴騰するか、反落するか。
相場には、知ったらしまいということもある。
いわば材料出尽くしである。
取り組みがベタに買われていたなら、
前記材料によるショック・ニュースでもそれほど高くはなるまい。
だが、八千円前後を、かなり売り込んでいる。
安売りの売り玉(五千円以下)は
一発材料出現で当然踏んでくるだろう。
小豆の売り方には、もうお金がない。
北海道の冷え込みは、いよいよ厳しくなるようだ。
②これ以上高値をつければ
上値を制限するのではないか、
という考え方があって、
ここから売って引き下がれても、
しれているという考え方はどうだろう。
なお高ければ、その騰げかたにもよるが
増し証は必至である。
ここにきての増し証は
売り方として、たまったものではない。
ところで、上値制限の問題であるが、
現物が二万円しているのなら、
定期市場が二万円しても、
なんら非難される理由はない。
取引所当局者も小豆の市場を
自らの手で潰すような行為はしない。
③売っている人も、買っている人も、
あらゆることを考え、
いろいろと迷ったり、気にしたりするところである。
市場における心理状態はどうなっているだろうか。
安いところを売った人。
両建てにして、買いを利食いしている。
だから安値の売り玉が残っている。
買っていて、利食いしてドテン売った人もある。
新規に買う人は、案外少ないし、
薄氷を踏む思いだから利食いが早い。
さて、相場はどうなるのだろう。
チャブつくところでもある。
難かしい。判らない。迷う。怖い。
だが、作況指数が50を割って
40とか35となる可能性が
非常に濃いことだけは判然としている。
深く押したところは
成り行き買いであることも厳然としている。
●編集部注
未曾有の大相場は、恐らく来週号あたりからの掲載になる。
今週はその前夜における、買い方、売り方双方の、
投資家心理の揺れ動きに注目。
【昭和四六年九月七日小豆二月限大阪二〇円高/東京五〇円高】