昭和の風林史 (昭和四六年八月二十四日掲載分) (2013.09.09)
一万八千円は約束された値段になった。
要は時間の問題である。
今からでも遅くない。買い方針。
「灯を消して枕に虫や耳鳴りや 七三郎」
あとうはどこで引き金が引かれるかの小豆相場となった。
新高値更新は、ちょっとしたきっかけだけで、
空間窓の、放れて飛ぶ、抜きかたになろうから、
先限一万六千五百円―あたりに寄り付いたりする。
西部劇でよく見る牛の暴走。あれである。
買い方は、押したところで玉を仕込んでいる。
一瞬静かになったところで
銃に弾丸を装填しているような格好である。
今の小豆相場は
時間の問題という表現がいちばんぴったりしている。
九月上旬、あるいは中旬の早霜。まず絶対的である。
その時は踏み上げで、前場一節からストップ高だろう。
そして被害の判明に伴って続く次の日も
ストップ高にとなることは、今から予測出来る。
中共小豆の成約が週明け伝えられ、
地合いは軟化したが、
すでに制空権も制海権も買い方のものであるから、
買い方の利食いで押す相場。
再び買い方が押し目買いに出てくることは明白である。
産地のほうは、作柄が、もう回復する余地はない。
水霜、早霜、台風、秋雨、凍結―。
そのいずれも悪い作柄を
いよいよ悪くするばかりである。
買い方が理性をもって良識の名において
高値を利食いするからこそ、
市場は熱狂、暴走を見ずに平穏を保持しているが、
売り方が、その気になって踏んでくる時は、
殺気立っているから、
必ずしも市場に理性と良識が通用するとは思えない。
五千五百円と六千円のところで、これだけ値段を錬って、
しかも上値指向の相場ならば、
ひとたび沸き立つと一万七千八百円までは一気である。
この際、売り玉は、早目に損切りして、
被害を大きくしないことである。
また、買い玉を建てておくべきであろう。
時間的に見ると、今度の押しで、
おそらく安場は最終になるように思う。
三百円押すか、五百円押すか、
あるいは押さないかもしれず、
売り玉手仕舞いの時機を失すれば、
ますます先に行って手仕舞いにくくなるだろう。
ともかくストップ高含みの相場で、
一万八千円実現は必至の情勢と見る。
●編集部注
この文章を読んでハタと気づく。
ああこの頃はストップがあったのだ。
ふと思い出す。東京金が、たった三ケタ台であった頃、
証拠金は一枚四万五〇〇〇円で、
ストップ幅四〇円だった。当節四〇円などすぐだ。
【昭和四六年八月二三日小豆一月限大阪一二〇円高/東京一五〇円高】