証券ビュー

森羅万象

昭和の風林史 (昭和四六年八月十六日掲載分) (2013.09.02)

存亡の危機へ 当面戻り売り!!

買い方まさに危急存亡。大勢はおよそ決せり

当面突っ込みは利食い。戻りは積極売りでよい。

「むらさきの流星垂れて消えにけり 念腹」

さて、崩れてきた。三市場とも先限は千円棒を記入した。

しかも大引値段で〝どうだい〟文句ないだろうという千円棒だ。

買い陣営は寂として声なし。

作況の回復/雑豆の自由化/天候の回復/

買い疲れの相場/日柄経過/

中共小豆の入荷と先行き新契約の可能性―。

そして作付け面積の増大という伏兵もある。

ケイ線的には先限が二百四十円を切ったら

ガタガタになると書いた。まさにその通りである。

取引員の懐ろは全般にベタに売られていた。

こんなにお客が売っては、下がるまいとクロウト地場筋が楽観していた。

天は大衆に味方した。さて、この相場どう見るか。

週末は=買い方・戦況を見守る(投げていない)。

売り方マバラ筋は利食いしていた。

週明けは利食い戻しがあるだろう。

また買い方も、まなじりキリキリと決戦を挑んでくるかもしれない。

だが買い方の戦線はあまりにも広がりすぎている。

期近二本に兵力を再投入しなければならぬ。

十月限にも主力師団を充当しなければ

東北六県内地小豆が五、七万俵出回ってくる。

西部戦線にも異常あり。新穀先二本が崩れては旧穀も浮き足立つ。

先二本の支援に海兵師団と航空師団の投入が急がれる。

買い方存亡の危機。

相場は、すでに組織的攻勢の機能を持たない買い方の散発的な、

そして時に特攻的反撃はあろうが、大勢は、およそ決定的である。

反発したところは、

充分なゆとりを持った〝戻り売り〟の売り方〝空挺師団〟の戦術投入が行なわれるだろう。

先三本、一万五千円マジノラインの蹂躙は時間の問題である。

買い方最も弱い部分は名古屋大石城である。

今週は、あるいは買い方自ら相場を崩しにかかる投げ相場が見られよう。

突っ込みは利食い。戻りは売り方針がよい。

●編集部注
いつもより、記述が簡潔。文量も若干短い。

〝利食いは器量〟とよく言われるが、

利食いにせよ、損切りにせよ、

どの相場も、参入よりは、退出する方が難しい。

「週明けは利食い戻しがあるだろう。

また買い方も、まなじりキリキリと決戦を挑んでくるかもしれない」と、

冷静に場の流れを分析した上で、

「買い方自ら相場を崩しにかかる投げ相場」の可能性も

視野に置いて「突っ込みは利食い。

戻りは売り方針がよい」という結論に至るこのロジック。

諧謔表現も含めて、芸として完成されている。

【昭和四六年八月十四日小豆一月限大阪四一〇円安/東京三六〇円安】