昭和の風林史 (昭和四六年七月三十日掲載分) (2013.08.08)
売り方針継続
必ずや崩れる!!
◇…旧穀には近寄るべからず。
新穀限月は千円幅の下げ場面ありと見る。
「夏氷の鋸あらくひきにけり 茅舎」
◇…期近限月には近寄らない。
納会で市中在庫のほとんど全部を買い方が受けきって、
これが缶詰にされてしまうと、
八月限の売り玉は、あきらかに手の内が読まれ
八月もサァ受けましょうと強気に出られると、
上値は付けほうだいである。
◇…同じように八月も、
そうやって、九月も買い方の強気路線がそのままだと
必然的に品物を持っていない売り方は
踏み上げざるを得ないのだ。
◇…されば有利な買い方にチョウチンをつけて―
と誰しも考えようが、証拠金は、どんどん大きくなるし
取り引き店からは建て玉制限の関係で、
できるだけ玉は建てないようにして欲しいと
建て玉はままならず、さほど有利な投機とも言えない。
また、必ず相場が買い方絶対で上に行くとも限らない。
相場というものは、仮りに一俵の現物がなくても
崩れる時期がくれば自然に値下がりする。
◇…まぁ、期近というより旧穀限月には近寄らないことである。
◇…さて、来月になればもう一本新穀限月が生まれ
今よりはやりやすくなるだろう。
巧者筋は、十二月限や一月限の高値は売って
判りやすい相場と見ている。
◇…それにしても東京市場における三晶の売り玉が無気味である。
九州筋の仕手の玉だとか、近藤紡の玉だとか、市場ではいろいろ臆測されている。
◇…相場としては、かなり疲労していることは事実で〝相場は相場に聞け〟という建て前ならば、力を入れずに高いところを売っていけば、時間さえくれば崩壊しよう。
◇…本年の不作相場が出るのは、一度大きく下値を叩いてからである。
今のまま、このまま一万七千円の新穀相場は、まず不可能。
強大な売り仕手が存在し六千円台は、さらに屈強な売り方が出現しよう。
買い方は大量の現物をストックし、戦線の拡大は資金面でも大変な作業である。
産地の今後の天候が急速に回復する可能性なしとせず。
七千円に突っ掛けるような熱狂した場面があれば、取引所当局は規制を打ち出すかもしれない(この場合上昇の仕方にもよるが)。
◇…筆者は新穀限月の千円崩しありと見るものである。
●編集部注
この記事から四十余年経ち、読む我々は既に相場の趨勢を知っている。
身震いがする。ただしそれは40年前の、ある相場師の英断に対してではなく、平成25年8月の自分に対してだ。
筆者は、目先金が下がると思っている。上の小豆の文字が、金に変わると…。いや、考えまい。