昭和の風林史 (昭和四六年七月二十四日掲載分) (2013.07.30)
遂に崩落開始 今週はガタガタ
先週は、かろうじて値を維持した。
今週はガタガタになりそうだ。
崩れだしたら千円安だ。
「青柿の落ちしより早かびそめし 虚子」
下げようとする相場。
これは相場自身の重さで下げようとする。
いうなら自然の姿である。
それを、下げさせないよう支えたり、買い煽ったりする。
これまた当然であろう。
産地の天候が土用にはいって、さっぱりよくない。
買い方は高いところでも腹一杯買って、
信念の強気である。
ここで安ければ当然信念を燃やして買うわけである。
どうだろう。週末の下げ味は非常に悪かった。
そして、ここにきて東京市場は三晶が盛んに売ってくる。
中共小豆の成約も進みだして、
そのつなぎ玉と見ることもできる。
十月限一代の日足線は頭で三ツ揃って、
この限月が六千円を割り込んでくれば、
恐らくガタガタになるだろう。
十一月限の六千円~六千三百円。
このダンゴになっているシコリ玉が、
なんとしてもほぐれない。
しかも、ここにきて十一月限、十二月限が
またまたダンゴになって、
まさにふれなば崩れんという風情である。
産地天候が、あれだけ悪かったにもかかわらず
人気がつかなかったことは
すでにこの相場が老境に入り、
随分疲労していることを証明しよう。
相場は、かなりのところまで不作を織り込んでいるし、
のみならず規制(大幅増証と建て玉制限)に嫌気がさしている。
それにしても中共小豆がホンコン経由を含めて
千㌧弱も成約されたことは
気分的にも大きな圧迫材料である。
輸入小豆は旧穀限月の頭を押え足を引っ張る。
今週から予想される天候の回復は、
市場人気をして先二本に売り物集中して、
買い玉の投げと新規売りで
先限五千円割れ、四千円近辺までの崩しを
実現させることであろう。
時に七月25日は大阪天満の天神祭。
堂島米相場時代より
俗に〝天神天井〟という言葉がある。
前週はせい一杯値を維持したが
今週は相場自身が内部崩壊して
値崩れを見せそうである。
●編集部注
今様なら〝ktkr〟か。
これはネットスラングで「キタコレ」と読む。
少し前、甲斐の軍旗を翻して、
ドラクロアの絵のような文章を書いていた人物の筆には思えない。
それにしても三晶とは懐かしい。
この記事が出た時には、私はまだ生まれていない。
ただ、営業で外回りしていた頃に、
この本社ビルの地下へは何度か通った。
旧字体で書かれたロゴが古めかしいビルにかかり、
ひたすら威圧感があ った事を覚えている。
その地下に画廊があって、
そこが投資家のサロンになっていた。
いまはどうなっているのか。
平成も、いささか遠くなりにけり、である。
【昭和四六年七月二四日小豆十二月限大阪七〇円高/東京八〇円高】