昭和の風林史 (昭和四六年七月七日掲載分) (2013.07.09)
二段上げ完了 反騰場面は売り
人気は押し目買いで弱くなりきれまい。
戻り売り方針である。
「浮き草にながあめあがる落花かな 蛇笏」
小豆相場は、どうにでも絵が書けるのではなかろうか。
新穀限月に対しては、
どこまでも(資金を出しきらず)売り上がっていく手。
反対に細く長く買いさがっていく手。
方針を決め、決めた方針を堅い信念で一貫すればよいのである。
旧穀限月は地合いが悪くなっても、
新穀限月のような大崩れはしない。
これは人気で浮動するのではなく需給事情で高下するから、
ある一定の水準は最低維持される。
われわれの関心を集めているのは、
十一月限と十二月限の先二本である。
天候次第と言ってしまえばそれまでであるが――。
さて月曜(五日)の夜放れには驚いて、
これでは一万四千八百円割れまでは戻り売りの〝相場〟になったと、
当面の作戦方針を変え、
仮りに急反騰で一万六千円台に買われようと
二段上げ相場は終了したと判断するのであった。
もとより天候相場は長丁場である。
作柄が決まるまでは軽率に結論は出せない。
しかし相場には相場の約束事がある。
①十一月限=六千円台でダンゴになった。
日ならずしてこれを買い切ってしまわなければならないのを、
逆に下に放れた。
(この現象を、相場の疲労、買いづかれと見る)。
②十月限=六月14日の高値近辺まで戻したが
九月限も同様に高値を更新出来なかった。
(ということは、それ以上に買い上げるだけのエネルギーがない。
値が浮いている感じだった)。
そして好材料に鈍感な相場になりだした。
そうなってくると一度値を冷やして、
水準を下げ、新たに取り組んで、
環境の変化と展開とを待って
新しい相場として出直す必要がある。
もとより三段上げして大天井を構成した相場ではない。
二段上げ完了による、終わった相場が強い人気のまま
押し目買い気分で、戻しては下げ、戻しては下げのコースを進む。
筆者は一万四千円どころ(一万三千八百六十円)を割ったら、
かなりの反騰があると見ているが、
その反騰は売り(四千五百円以下巧者筋は買い)と思う。
現在は、そのあたりまでのことを考えておけばよいだろう。
戻り売り方針。
ただし大勢は三段上げによる前の高値更新は
充分に予想することが出来る。
●編集部注
「五日の夜放れには驚いて、
これでは一万四千八百円割れまでは戻り売りの〝相場〟になったと、
当面の作戦方針を変え」
―この転換は近年の風林に見られない早業。
お見事!目先下げ、大局三段上げの相場観は素晴らしい。
さて、いよいよ十数年ぶりに近藤紡が介入。
売り浴びせに慄く市場。
かたや買い方、山梨商事、ほか連合軍が相手。
観客は再び穀物劇場に押し寄せてくる。
「大入り満員」は疑う余地がない―と。
激戦繰り広げられる戦場、風林節が益々冴える。
【昭和四六年七月六日小豆十二月限大阪三〇円高/東京一〇円高】