TPP考(上) 10月28日 紫玉庵 (2011.10.27)
24の分野に規制緩和
対日本が明白な米国の意図
円高、ドル安といって、
日本に大量の米国製品が入るでしょか。
米国産農産物でいえば、
従前から遺伝子組み換え、
緩い安全基準、大量の添加物、
など心配されます。
いま、日本の消費者は、
農作物や食品に放射線量から
農薬・添加物にきわめて敏感になっています。
常に、意識しているのは、
一体、誰が、どのように、どのような気持ちで、
こうした食品をつくり、供給しているか。
誰なら、安心して買うことができるのか、
相手を見つけたいということです。
動きは、既に始まっています。
国内の生産者は当然、海外のものでも、
不安がって避けています。
どんどん、賢くなっています。
米国は、経済を立て直すため、
TPPを持ち出しています。
もともとアジアの9か国が
議論していたものですが、
うまく利用しようとしているわけです。
オバマ政権は、雇用創出の為、
5年間で輸出を倍増すると公約しています。
達成するため、為替も大幅にドル安に
しなければなりませんし、
TPPのような包括的な政策が
必要となっているわけです。
農業分野だけでなく、
24の分野にわたり広く規制緩和に向けて
議論が行われることになります。
米国は、今まで、日本に対し、
2国間交渉において、
農産物、自動車、半導体など、
市場開放を求めてきました。
しかし、解放されたからといって、
自動的に製品が
日本に入ってくるわけではありませんでした。
事実、あまり入っていません。
日本の消費者に認められるものを
作ってこなかったからです。
唯一の例外は金融分野かもしれません。
この分野における日本企業の弱さが際立っています。
為替でドル安円高が進んでも、
アメリカの企業自身が、
世界の市場で、消費者に歓迎されるものを
作らなければ限度があります。
米国でも、日本製品の良さは認められています。
先日、韓国の李明博大統領が訪米した晩餐会で、
日本料理が出されたということで、
ネットでは大騒ぎになっています。
日本料理は、既に国の枠を超えて
認められているのでしょう。
日本製品はもちろん重要ですが、
もっと重要なことは、背景にあるソフトです。
常に消費者のことを思う、
真面目な生産者によってのみ、
経験と知恵が蓄積されていくのです。
ソフトを広めていくことが
必要なのではないでしょうか。