慎重な見通し 北川工業 7月28日 (2011.07.27)
今、来期トレンド転換
次世代対応に一歩踏み込む
北川工業(6896)は反転半ば。依然慎重な見通し。次の足場を固めるところだ。昨年11月2日、同9日、5月6日の修正発表によるもので、足もとも前期よりいいといえない状態。震災や原発事故、米欧信用不安、中国経済減速、さらに円ドル78円台など収まりそうにないためだ。しかし、最新鋭機械を目玉に今期の連結設備投資12億円(85%増)の計画。それに、立ち上げた深圳と無錫、タイを結ぶ製品供給に中国、アセアン向け地産地消のくさび。新体制2期目を迎え、次世代対応に一歩踏み込んでいる。グローバルな電子機器市場を軸足に自動車、新エネルギー、鉄道車両、環境、アミューズメントなどマーケット拡大に備えるもの。主要日系ユーザーの海外生産移管、OEM企業に対しODM(開発段階から委託)対応も迫られる変革期。2013年(50周年)が節目とみられ、今、来期増収確保が課題になりそうだ。事実、電磁波環境・精密エンジニアリングコンポーネントが90%を超える業態。海外売上高が4割になり、ユーザーが日系企業に限らず拡大。これに見合う海外生産比率の引き上げも急務とみられる。07年3月期(最高純益26億4700万円)をピークにパラダイムシフト。直近4期はっきりした。今年8月15日、ニクソンショック以来40年。円ドル360円から現在78円まで円高が進み、バブル崩壊から20年有余。デフレも最終段階とみられ、中長期円安・インフレに振れるきざしが出ている。
11年3月期(連結)は、2%増収、32%営業増益、14%経常増益、28%減益(災害特損3億6300万円)。結局、営業利益を除き計画を下回った。12年3月期(連結)は、売上高110億円(3%減)、営業利益6億5000万円(20%減)、経常利益8億5000万円(6%減)、純益5億6000万円(56%増)の見通し。配当は17円(中間8.5円)を据え置く予定。1Q発表(8月5日の予定)が注目される。北川社長(52)は、マグマを秘めたロマンチスト。昨年4月就任以来上昇運。今、来期トレンド転換のきっかけをつかみそうだ。深圳がバロメーターとみられる。