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企業レポート

たった80年  スズケン  2月14日 (2013.02.13)

地道な努力の積み重ね

医薬品卸売3期ぶり黒字転換

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スズケン(9987)は回復。全部門増収が手掛かり。引き続き営業損益の改善が課題になっている。グループ挙げて構造改革。コスト構造改革に打ち込み一定の成果。昨年9月4度目の希望退職募集に694人応募。特損49億8400万円計上したのも一環。業界再編を受けて94年に上場し、相次いだM&Aの反動がうかがえる。4日発表された3Q連結累計によると、主力の医薬品卸売事業の営業損失8700万円。前年同期同48億7400万円から大幅に好転し、3期ぶりに黒字転換が確実な情勢。未妥結仮納入推定42、43%に対し、合理的な見積もりで臨んでいるという。07年流通改善懇談会の緊急提言により、従来の総価を単品単価取引に改めるもの。これまで5年リーマン、円高、大震災など景気悪化に見舞われ、川中の卸売にとって川上、川下ともに交渉難航。14年4月薬価引き下げと同時に消費税が5%から8%、15年10月10%になることから、薬価も実勢価格に見合う改定が予想される。それに、15年9月といわれる新バーコード表示。ロット番号、有効期限など業務のIT化に不可欠でメーカー負担。取りまとめに骨が折れる。前回述べたように、むしろ一件ごと個別に地道な努力を積み重ねるのが近道。消費税引き上げには受診抑制も考えられるという。一方、昨年11月立ち上げた岡山物流センター。連結子会社サンキ所管によるもので、36億円投入し年商1250億円の処理能力。トレーサビリティ、POS検品、セキュリティ対策など最新鋭揃い。当初打ち出した全国の9拠点構想が完成した。さらに、名古屋郊外で3.4haの土地を取得した模様。20年デフレからインフレに変わる潮目。ストックの時代に備えるものだ。3Q連結累計は、2%増収、44%営業増益、13%経常増益、17%減益。回復とはいえ、医薬品卸売の営業損益改善によるもので、医薬品製造(36%営業減益)、保険薬局(27%同減益)、医療関連サービス(45%同減益)。開発費や人件費負担をこらえている印象。今、来期医薬品卸売が自信を取り戻すと次の流れができる。

2013年3月期(連結)は、売上高1兆9140億円(3%増)、営業利益134億1000万円(77%増)、経常利益292億1000万円(26%増)、純益140億円(74%増)の見通し。配当50円(期末25円)を据え置く予定。設備投資105億円(前期145億円)の計画。昨年11月に創業80年を迎えた際、別府会長が社員に「たった80年」と述べ、100年、200年に向けて発奮を促したという。1965年業界トップになり約30年。現在3位につけているが、返り咲きを目指すものとみられる。夏場以降、来年にかけて上昇運。太田社長(63)も今年後半から上昇運だけに前半の仕込みが鍵。円安株高がヒントになりそうだ。

 

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