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企業レポート

局面が一変 岡谷綱機 1月4日 (2012.12.28)

レポートスペシャル

昨年12月新政権の影響

中期計画1、2年繰り上がる

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岡谷鋼機(7485)は1、2Q堅調。3Q踊り場、4Q追い込み。来期切り返す見通し。昨年12月26日発足した新政権の影響が大きく、解散含みになった同11月14日から円安株高が追い風。トヨタの3Q発表をきっかけに局面が一変しそうだ。昨年9月11日尖閣国有化後に日中関係悪化。欧州債務危機がぶり返す一方、中国の在庫調整も表面化。先進国、新興国ともに景気減速をやむなくされた。日本の場合、2014、15年消費税引き上げが3党合意で先行したため最悪。重苦しい雰囲気に包まれていた。新政権はインフレターゲット2%を打ち出し積極財政、大胆な追加緩和を重ねて表明。円安株高を促すもので、財政赤字がかさむだけに、失敗すると副作用も大きい。しかし、7月の参院選にかけて景気を刺激。予想以上のインパクトをもたらすとみられ、ミクロでは支援材料。住宅が動き自動車、工作機械に波及すると、同社の鉄鋼(前期連結43%)、産業資材(同26%)、情報・電機(同22%)、生活産業(同9%)にも強いアタリ。国内外、活気が戻ってくる。この分でいくと、中期計画Gih-15(ジーダッシュフィフティーン)に盛った連結売上高1兆円、純益100億円(2016年2月期)に対し、2014、15年の消費税倍増が駆け込み需要を誘発。通過点の2013年度より2年早く純益80億円を計上したように、1、2年繰り上がる公算もある。懸案の海外取引比率30%(3Q連結累計27.3%)も時間の問題。40%前後になると一味違ってくる。このため、4Qの追い込みと来期1、2Qの対応が焦点。国内シェア・海外取引拡大が注目される。国内は本体26拠点と子会社35、海外が19ヵ国子会社35のネットワーク。連結従業員4745人の規模。1669年(寛文9年)創業から344年を数える老舗。国内では旧尾張藩の御用達として積み重ねた信用が大手商社と肩を並べるほど。東京五輪の1964年に米国子会社を立ち上げ海外展開半世紀。前期の連結売上高によると、北米236億円、欧州50億円に対し中国357億円、タイ315億円、中国をとタイを除くアジア374億円。このうちタイのユニオンオートパーツ(売上高47億円、純益9億5000万円)が稼ぎ頭。日系大手メーカーにパートナーシップ強化。よく伸びている。このほか、日系大手ゼネコン向け建材が堅調。米国子会社が好調。タイの洪水、中国で起きたデモの影響も軽くて幸い。取引先の対応に追われたという。国内は、昨年9月子会社になった山形の新池田(従業員27人・年商見込み34億円)が次のステップ。東北は個別構成比2%に過ぎないが、東北岡谷との連携強化により案件増。復興需要を通じてシェア上昇につながる。次世代のHEMSシステム、LED、透過型ディスプレイなどに取り組む岡谷エレクトロニクスも見どころがある。
2013年2月期(連結)は、売上高7000億円(3%増)、営業利益120億円(26%増)、経常利益130億円(16%増)、純益85億円(0.2%増)の見通し。12月27日3Qを発表。売上高のみ修正した。配当24円(期末12円)を据え置く方針。2013年後半から上昇運。岡谷社長(68)も同運で興味深い。中期計画のテーマになった海外取引拡大、技術革新、人材育成にもってこいの場面。同計画は昨年度から予想を上回り2期目もレベルの高い折り返し。4Q追い込み来期1、2Q締まると区間新も考えられる。大納会920円(1株当たり純資産1774円)で引けたが、今年、来年意外な高値が見込まれる。暖簾の割に温厚篤実。謙虚なところが受けるようだ。

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