新ビル目安に陽線 名工建設 12月19日 (2012.12.18)
予想される巻き返し
来期以降3年社運賭けた再開発
名工建設(1869)は1、2Qは足踏み。3Qも厳しいという。10月31日の修正発表によるもので、売上高を除き計画を下回る折り返し。震災復興の煽りで人件費や資材が高止まり。コストダウンが追いつかない模様。しかし、官公庁が切り返す一方民間も健闘し、2Q連結累計の受注高307億円(28%増)。通期予想760億円を確保できる見通し。3,4Q採算の改善が見込まれ修正なし。来期が焦点になっている。4月3日決定した名駅一丁目計画(仮称)。前回述べたように、日本郵政グループと共同で旧本社を再開発。11月解体に入り来夏着工、2015年秋完成の予定。総工費414億円という。高層棟40階と低層棟11階を結ぶ設計でJR名古屋駅に直結し、郵便局北交差点につながる歩行者道路(2階)がポイント。1200億円といわれるJR東海新ビル(46階)が10月17日起工式を終え本格的な工事に入ったほか、三菱地所も大名古屋ビルヂングを50年ぶりに新ビル(34階)に建て替えるため解体中。2015年3棟ほぼ同時にオープンする予定。2027年リニア東京ー名古屋開業に備えるもので、現在JR東海の説明会活発。来秋公表されるアセスメント(環境影響評価)で詳細が明らかになる見込み。郵政と共同の再開発ビルが稼働すると不動産収入、開業までリニア関連の受注が見込まれ、2021年(80周年)にかけて黄金の10年。31年(90周年)にはリニア開業も現実のものになる。当面賃貸オフィスのテナント取り込みに追われ、400億円規模の資産捻出も初の試み。今後40~50億円運転資金をつくり着工を支援するという。6月28日JR東海から野田社長(63)が着任。逐一全体像を把握し臨むところ。来期から3年社運を賭けた大事業が動き出す。同社の場合、来年後半から3年上昇運。社長も上昇運で現在踊り場だけにモノにできるはずだ。
2013年3月期(連結)は、売上高750億円(1%減)、営業利益16億円(19%減)、経常利益17億円(同)、純益9億5000万円(25%減)の見通し。配当10円(期末5円)を据え置く予定。創立当時うかがえるように、トンネル保守で定評。12月2日山梨県笹子トンネル事故がきっかけだが、新丹那と京都東山トンネルで実績。外から片方4キロ生コンを圧送する技術を保有。一方、旧住宅公団等による集合住宅も耐用年数30~40年を迎え来期以降の手掛かり。11月27日耐震補強「スミック工法」の模擬現場を公開。同工法を開発した当時より足場や工期、コストなども大幅に改善し引き合いも多いという。未耐震の集合住宅が現在全国に100万戸といわれ、地元1割経済に取り込めるかどうか課題。目先、中長期でも展開材料に事欠かず恵まれたポジションにある。JR東海同様に夢を一歩一歩実現するのみ。今年は発会の520円を高値に陰線だが。来年新ビル着工を目安に陽線。巻き返しが予想される。