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企業レポート

連結売上高ピーク更新       文溪堂   12月18日 (2012.12.17)

ビジネスチャンス到来

2012、13年努力が実る場面

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文溪堂(9471)は踊り場。3,4Q踏ん張りどころ。もう一皮むけそうだ。小学校2年目、中学校初年度にあたる新学習指導要領。移行措置に入った前年度から売り上げがじわじわ伸びているためで、2Q連結累計3期連続増収。何よりピーク更新が手掛かり。前回述べた先取点に追加点が入りシェア上昇の模様。ゆとり教育の反省を込めた新要領実施が反転の契機になった。47年ぶり9月29日開幕した第67回「ぎふ清流国体」で同社の送り出したバドミントン女子チームが優勝。日本一になったのも支援材料。モチベーションが高い。1900年8月10日創業。書店をルーツに小学校令の改正で義務教育4年、授業料が無料になった年。事実110年目から直近3期、次の100年を巡る初動が伝わってくる。12年ぶり2011年1月発売した児童書「バムケロ」50万部、前年連続で青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選ばれた「犬どろぼう」など走り。また、一般財団法人・総合初等教育研究所が実施している「てのひら文庫賞感想文コンクール」では、これまで全国36回、岐阜33回の協賛スポンサー。文科省や県、教育団体と連携。全国約14万、岐阜1万6000点の応募にこたえ入賞者に図書券をプレゼント。毎年全国の審査に国語の教師100人動員というから半端でない。水谷社長(64)に水を向けると「それもこれも真面目な社員のおかげ」と嬉しそう。テスト、ドリル、プリント、ノートワーク、副読本、季刊物、用具・セット教材、市販図書、さらに教育ソフトなど企画から完成まで一貫生産。次のテーマは特許申請、ソフトの改良・改善・普及など一段とレベルアップ。新要領が30%内容が減った前要領30年の跳ね返りだけに最初が肝腎。たとえば、次年度から社会科資料集に尖閣、竹島を日本領表示。用具・セット教材も改良・改善に余念がない。小学校10、中学校1の割合で採用が増えている。元宇宙飛行士の山崎直子(42)は、小学校4年の時、理科の授業で担任が「星のかけらと人間の体は同じ成分出来ている」ことを学び、宇宙と自分がつながっていることに感動したという。登山家の田部井淳子(73)も、小学校4年の夏休みに担任と那須の茶臼岳、朝日岳に登ったのが女性で初のエレベスト登頂を実現したきっかけ。日本は出口に甘い高等教育より入口にうるさい初等教育に定評。同社は初等教育に傾注と前回述べた通りだ。上場した88年当時、単体売上高73億円だったが、前期96億円レベル。児童数減少に拘らず25年で3割売り上げを伸ばしている。

2013年3月期(連結)は、売上高108億8000万円(0.2%増)、営業利益4億8000万円(16%減)、経常利益4億8000万円(17%減)、純益2億6000万円(10%減)と計画通り。配当14.5円(期末7.25円)の予定。前期の反動で2Q連結累計減益だが、計画を上回る折り返し。3、4Q編集費用償却を主因に例年赤字だが、今、来期従来にない緊迫した場面。中教審が20年ぶり高校無償化を導入する国会論議に対し、教育の質向上を求められたため。4月17日2年ぶり小学校6年と中学校3年を対象に全国学力テスト(国語・算数・数学)が行われ8月8日結果が明らかになった。それによると、秋田県と北陸3県が優秀。今回追加された理科の成績不十分。正答率が小学生61%、中学生52%という。正しい図表を理解できても、記述式になると正答率小学生34%、中学生33%。むしろ、ビジネスチャンスが到来した。同社の場合、2012、13年にかけてこれまでの努力が実る場面。2020年(120周年)に向けて二つ目の山が見えてきた。

 

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