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企業レポート

出番が近い 医学生物   1月7日 (2011.01.07)

製薬大手と提携実現も

ヒト抗体ライブラリー確立

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医学生物学研究所(4557・JQ)は復調。反転2期目、4Qに入った。独自の製品(単体75%)、商品でも連結増収を確保。09年3月期を境に採算が大幅に好転している。ヒトゲノム解読から11年目。ポストゲノムの本命といわれる抗体医薬品開発。ファージ・ディスプレー法を擁し、ヒト抗体ライブリーを確立しているだけに出番が近い。製薬大手の新薬不足、特許切れ続出、ジェネリック台頭も背景。製薬大手にバイオ医薬品のノウハウがないためで、同社の場合、子会社の抗体研究所と共同開発した抗体を使って各種感染症疾患の治療にめどをつけたことも手がかり。癌、エイズ、C型肝炎など視野に入れた研究も進んでおり、10年来懸案だった製薬大手と提携が実現することも考えられる。

1975年、モノクローナル抗体の作製技術確立が第一歩。90年代遺伝子工学の進歩によりキメラ抗体、ヒト化抗体が登場。標的の抗原のみ攻撃するという特徴により、治療効果が高く副作用の少ない点が評価された。95年4月「レオプロ」(血小板疑集阻害薬)、91年11月「リツキサン」(悪性リンパ腫治療薬)、98年10月「ハーセプチン」(乳癌治療薬)が有名。いずれも大型商品になっている。現在、ヒト抗体作製による創薬開発に活気。マウス系で先行する欧米ベンチャーに対し、ファージ(細胞に感染するウィルス)でキャッチアップした同社に見どころ。社運を調べたら、今年から上昇気流に乗るといわれ、夏場過ぎに絶好調という。

2Q連結累計は、4%増収、41%営業増益、16%経常減益、純益400万円の折り返し。売上高を除き計画を上回った。抗P53抗体検査試薬が堅調なほか、細胞診の子宮頚部細胞採取ブラシと抗ミュラー管ホルモン測定試薬が好調。原価・販管費の改善も目立つ。1Q低調だったが、2Q平年並みという。研究開発費は単体で5億2000万円(4%増)、20.8%にのぼる。11年3月期(連結)は、売上高62億7300万円(3%増)、営業利益5億8000万円(21%増)、経常利益4億7500万円(47%増)、純益3億4000万円(28%増)と売上高を除き修正なし。配当は期末4円を据え置く予定。09年(40周年)が復活の節目になった。今、来期保険適用、製造承認が相次ぐ見通し。一瞥しただけで4ケタに戻すとみられる。

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