バランス取り戻し安定感
歩留まり改善しシェアアップも
中部鋼鈑(5461)は踊り場。1Q連結持ち出しになった。建機、産機の在庫調整に土木、建築も予想を下回る水準。これまで世界の相場を押し上げてきた中国の景気減速表面化。8月以降製品価格、鉄スクラップも先安感に包まれている。しかし直近3期急激な市況の反動を吸収。バランスを取り戻しただけに安定感。7月25日5円減配を発表したのにとどまった。09年連鋳機更新を皮切りにスクラップヤード・圧延工場増築、圧延基盤整備、圧延機ハウジング更新など延べ330億円の設備投資によるもの。前回述べたように、生産性が上がりコストが下がった。今年3月溶鋼を運ぶ精錬台車を1基新調、2基にして工程間のロスタイムを削減したほか、電炉スラグ処理場を更新し安全と環境配慮に目配り。着実に歩留まりを改善している。去る8月22日、太陽光発電事業参入を表明。3億円投入し同社、工場建屋の屋上にIMW(1000kw)の発電能力。来年6月総会で定款変更決議の上、翌年3月までに売電を開始する計画。前期末の連結有利子負債ゼロ。同自己資本比率86.7%。財務体質が好転し、大小の市況変動に左右されにくくなった。今期はシェア(推定4%)アップをはじめ6課題に取り組む3ヵ年計画の初年度。前半出遅れとみられ、後半の巻き返しが見どころ。前期末23億円(22%減)、1Q21億円(11%減)の在庫が目安。2Q以降反転の手掛かりになりそうだ。
2013年3月期(連結)は、売上高411億円(5%減)、営業利益7億円(52%減)、経常利益同(55%減)、純益4億円(51%減)の見通し。配当5円(中間2円)の予定。前年度の国内粗鋼生産1億646万トン(3.9%減)に対し、1Q2750万トン(4.3%増)のスタート。11月6日の米大統領選後、財政の崖を巡り波乱が予想される。同社は昨年後半から来年前半にかけて低目の安定運。その後再び上昇運。太田社長(60)が昨年、今年上昇運だけにもうひと山ある。来年後半予想される反転に備える上で今、来期の仕込みがモノをいいそうだ。10月に合併する新日鉄と住金、ステンレスでも日新鋼と日金工が10月経営統合の運び。後半正念場と考えられる。