前期から持ち直す 焼津水産 9月6日 (2012.09.05)
浸透する事業構造改革
アンセリン量産化に見どころ
焼津水産化学工業(2812)は反転。徐々に持ち直した。主力の調味料が巻き返し、機能食品の落ち込みを吸収。前期から採算が改善している。8月3日発表した1Q(連結)は、2%減収、8%営業増益、1%経常減益、6%増益。震災特需の反動で減収になった医療栄養食品を勘案すると増収。匿名組合投資損失3100万円を加味すると経常増益。すっかりバランスを取り戻した。修正した中期計画最終年度。前期踏み切った事業構造改革の浸透によるもの。新規取引先獲得・不採算品見直し、生産性向上、経費削減、従業員の転進支援など実施。事業継続計画に基づく新工場建設用地として、静岡県掛川市の工場団地2区画(1万4000坪)を11億円で取得。次世代のインフラにも手を打った。2Q通常一服するが、3Q需要期だけに来年2月になると本物かどうかわかる。調味料半世紀、機能食品で30年の実績。焼津市唯一の東証1部上場企業。09年(50周年)を節目に軌道修正3年。100周年に備えるところ。欧米債務危機、円高、消費税引き上げなど吸収できる。海洋の天然素材によるエキス調味料。キチンオリゴ糖、N-アセチルグルコミサン(業界トップ)、コラーゲン、アンセリンなど機能食品でも指折りの存在。何より、アンセリンの抗酸化・尿酸値降下作用を解明。高純度に精製する生産技術を開発。量産化に見どころがある。やがて、国内外ロングセラーになりそうだ。
2013年3月期(連結)は、売上高207億円2000万円(2%増)、営業利益14億円6500万円(13%増)、経常利益15億500万円(9%増)、純益8億5500万円(28%増)の見通し。配当22円(中間10円)を据え置く予定。設備投資19億円(前期4億円)の計画。子会社の大連YSK,UMI,オーケー食品、マルミフーズと連携して川上、川下作戦。海外にも販路拡大。むしろ、リーマンショック、東日本大震災を奇貨に生まれ変わる。2012、13年調整運だが14年から上昇トレンド入り。山本社長(63)が12,13年上昇運だけにツキもある。5日724円(1株当たり連結純資産1269円)で引けたが、大底圏だけに妙味十分。優待に評価が高い。