ピークより締まる OSG 7月25日 (2012.07.24)
広がるビジネスチャンス
タップ増強と連動し仕込み活発
OSG(6136)は好調。予想以上の折り返し。ピークの06年当時より締まっている。前半円ドル78円(06年116円)、円ユーロ105円(同143円)をこなし事実上区間新。連結営業利益率41.4%(同38.8%)に復活のエネルギーがこもったまま。後半慎重で通期予想に変わりないが、一服しても高水準。上方修正の公算が大きい。自動車をはじめ、建機、航空機、スマホ、医療など市場拡大。世界一のタップ(シェア推定33%)増強と連動して超硬ドリルの成長が見込まれるだけに仕込み活発。中長期さらに伸びる。タップの場合、3月291万本に達し最高。2012年度300万本、13年度330万本体制。八名工場が一例で自動化が進み、休日でもロボットが稼働するため生産性が高い。超硬ドリルは2Q25億円を突破。中国、北米も本格生産を開始する。これに超硬エンドミルが追随し、台湾・米国・メキシコ(来期)にコーティングセンターを増強する運び。コーティングといえば、昨年から米国生産に踏み切ったボーイング787のCFRP加工。ダイヤモンド工具の受注増も新たなステップ。航空機向けは連結売上高の約5%で独自の技術によるものだけに、質量、精度、価格競争など磨きをかけると全体のレベルも上がる。スマホは器用につき合っているが、頻繁に仕様が変わり、ビジネスとして採算を確保するのに骨が折れるという。現在、グローバルプレーヤー、トータルソリューションを目指す同社にとって2度目の事業確立期。08(70周年)〜18年(80周年)に相当するもので、中期計画11〜13年度に足掛かり。石川社長がドン底の07年就任し5年たったところだ。初の非オーナー系トップで合理性や客観性が評価されてきた印象。オーナー系のカリスマ性や事業に対する情熱も受け継がれ、80周年にかけてもう一皮むける場面。これから5年安定・上昇運が続き恵まれた社運。欧米債務危機や中国バブルの反動も吸収できる。従来にないビジネスチャンスが広がっている。
2012年11月期(連結)は、売上高840億円(4%増)、営業利益140億円(14%増)、経常利益133億円(17%増)、純益74億円(25%増)と修正なし。さらに5月増配し23円配当(中間10円)の予定。設備投資94億円(上期56億円)計画通り。タップ増強にドイツ・韓国新工場立ち上げ、コーティングセンター、Phoenixシリーズ拡充など中期計画(2013年度)を踏まえたもの。連結売上高900億円、営業利益150億円を目前にとらえた。国内外の自動車生産回復が主因。直近建機一服だが、航空機、スマホなど重点分野の取り組みに意欲。前回述べた1968年米国を口火に海外25ヵ国のネットワークがリターンをもたらし始めた。来年4月、ドイツでダイムラー向け新工場が回り出すと大きい。中長期06年の上場来高値(2640円)更新も視野に入ってくる。