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企業レポート

差し引き尻上がり 大宝運輸 8月27日 (2024.08.26)

営業拡大のチャンス 
2024年問題奇貨にブランド再構築
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 大宝運輸(9040)は小確り。4~6月期2.5%増収7.9%営業増益。差し引き尻上がりだ。物流の2024年問題消化吸収によるもので一連の業務効率改善が主因。ポジションが上がり始めた。4月からドライバーの長時間・過重労働を規制するため適用される時間外上限年間960時間。2030年、国内の輸送能力が3分の1以上不足する見通し。このため、人材確保が死活問題で高卒採用、中・大型免許取得費用負担、週休3日制など対応急ピッチ。17年愛知県労働局長の是正指導もありいち早く浸透。むしろ、収益改善に貢献している。同社によると、上限規制を受け管理精度の向上を行う中で社員が安心して働ける条件づくりを推進。定着率向上と新たな人材の確保が課題。一方、施策として取引先に対し適正な料金改定、配送曜日、時間帯の変更、待機時間短縮など組み合わせを協力して考え、全体で品質を高める努力を継続する旨表明。人材を確保するため、全産業並みの水準と隔たりがあっても賃上げを実施。これまで取り組んできた安全教育の一層充実を図るという。5月の新年度講習会が24年問題で持ち切り。社内報に営業拡大のチャンス。ブランド再構築もうかがえる。同社は100年以上近隣県中心に地域密着型物流が強み。これを最大限活かし、同業者と連携や企業などと協力し合うことで距離や時間等物理的な壁を解消。満足度を高めるサービスを生み出していく機会と前向き。17年愛知県労働局長の指導を僅か1ヵ月でやり切っただけに失敗体験が成功を促した。19年立ち上げた東郷コールセンター然り。再三コロナ規制を受け人手不足で立ち上げたため一時費用が大幅に増加。雌伏5年、黒字転換の見込み。大や小にあらず中規模の物流会社として自社の特徴を活かす市場を開発している。前回述べたように、スペイン風邪(1918~20年)のさなかに創業。今回コロナ禍(2019~23年)を境に次の100年を迎えた。算命学で社運を調べると、24年好調のど真ん中で大活躍。30年運気好調という。自立心旺盛な初代の星。全社員初代になるほかない。小笠原社長(55)は24年地上に降りた天使。26年マイペースを取り戻し30年好調。社運と似ている。
 2025年3月期(非連結)は、売上高81億円(5.5%増)、営業利益2億9000万円(15.6%増)、経常利益3億円(12.3%増)、純利益3億1000万円(203.9%増)の見通し。配当100円(中間50円)を据え置く予定。設備投資1億円(前期1億1900万円)の計画。8月20日発表された全日本トラック協会の景況感(4~6月期)によると、運賃・料金の水準が改善基調にあるものの、燃料や物価高に対するコスト転嫁が遅れ-31.4(1~3月期-26.1)。7~9月期も事業環境の不透明感を背景に-41.3と悪化する見込み。トラック運送の業者9割が中小企業といわれ、年間所得も全産業平均より低く労働時間が長い。同社は2024年問題を奇貨にブランド再構築。営業拡大のチャンスと受け止めている。

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