質の転換にシフト 岡谷鋼機 1月1日 (2024.01.01)
これから10年追い風
日鉄USスチール買収が決め手
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岡谷鋼機(7485)は確り。連結最高益で折り返し後半強含み。10年後の初動とみられる。コロナ禍、ウクライナ・中東戦争に拘らず直近2期収益回復。「GIC 2025」(グループ5ヵ年中期経営計画)を通じて後半CN(カーボンニュートラル)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、EV(電動化)など全社レベルに浸透。見える化、簡素化、正確・スピード向上など質の転換にシフト。市場ニーズに呼応するもので、2023年12月に日本製鉄(5401)が2兆円超で米USスチール買収を発表したのが決め手。年明け以降、紆余曲折の末に株主総会で承認される見通し。国内より米国市場の拡大が見込まれ、EVのモーターに使う電磁鋼板や水素製鉄、電炉切り替えなど巨額の投資も必要。このため、中長期ビジネスチャンス。数年後、記録的なスケールも考えられる。創業1669年。名古屋の「笹屋」がルーツ。出雲の和鉄、堺・三木の刃物仕入れでも知られ、日鉄やトヨタ(7203)にUSスチール(1901年誕生)より歴史が長い。買収が実現すると世界3位の規模で初動が現実になりそうだ。2019年に就任した日鉄の橋本社長(68)が剛腕で知られ、中国の宝山鋼鉄とトヨタを相手に訴訟を起こし一歩も引かない。同年財閥解体をとかれ現商号に戻した。同社の場合、23年9月以降中期計画後半が真骨頂。CN、DX、EVの取り組み本格化。社員一人一人が挑戦している。営業部門は現地・現物・現人の徹底により情報力を強化。5~10年先を見越した新規ビジネスを構築。海外で現地化の推進に取り組んでいる。22年12月営業を始めた新エフエイコムのシステムインテグレーション(情報システム構築)、エンジニアリング機能発揮が試金石。取引先の生産性向上、ものつくりの高度化を実現するもので、国内はおろか世界の産業発展に貢献したいという。デジタル分野然り。情報やシステム導入にとどまらず、いずれDXを使いこなす構えだ。23年11月「メッセナゴヤ 2023」で工作機械やロボットのCO₂排出量を自動算出し、クラウド上で一元管理する制御盤を出展。鉄鋼をはじめ幅広い業界で注目浴びた。このほか、光洋マテリカの株式追加取得や米デトロイトに続きメキシコのモンテレイ進出など材料豊富。「30年デフレ」がインフレの潮目に差し掛かり製造業復活の走り。コロナ明けから人流回復。ペントアップ(待機)、インバウンド需要もうかがえる。日本は欧米のITや金融と一線を画し製造業が復活をリードする見込み。中長期、鉄鋼と自動車を軸足に活気を取り戻すきっかけをつかんだ。
2024年2月期(連結)は、売上高1兆円(3.9%増)、営業利益280億円(4.9%減)、経常利益310億円(4.8%減)、純利益200億円(15.0%減)の見通し。配当250円(期末125円)の予定。設備投資73億円(前期82億1800万円)の計画。上方修正を期待できる。算命学によると、24~25年にかけて中落ち運もみられ、年明け引き締めてかかる場面。本能的に人の倍、3倍働き懐が大きい。岡谷社長(50)は何が起きても一条の光を放つ存在。むしろ、ピンチがチャンスになるはずだ。伊勢神宮20年に1度の式年遷宮に屋根の飾金物など納めており、これから10年追い風が吹くという。※3月28日発表予定の決算にご注目ください。