中長期スケール大きい
製造業の国内回帰で粗鋼生産回復
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中部鋼鈑(5461)は新電炉待ち。前期リーマンショック後連結最高益を更新しプライムにも上場。次のステップに入った。折から、4~9月国内粗鋼生産前年同期比2.3%減の4376万トン。自動車を除き建築や機械、輸出が落ち込み2年連続マイナス。高炉休止に追い込まれている。この間、人手不足や工事障害物等で工事遅延。安定供給のため、稼働時期を2024年秋に変更。23年夏に工事を予定通り3ヵ月実施した上、300トンクレーンと圧延冷却床乗移装置の工事を計画通り実行した。前半計画を上回り、固定費削減に損益改善が先行。後半乗り切ると、次期新電炉稼働に向けてカウントダウン。むしろ、24年秋が解に近い。1962年導入した当時200トン(世界最大級)の電炉を発露に20年菅元首相の所信表明「50年までにカーボンニュートラル」(脱炭素宣言)が潮目。約60年高炉による大量生産、大量消費の反動が気候変動と重なり、コロナ明け循環型・脱炭素社会がベースになった。21中期経営計画の併進、運休、見直しを通じて脱炭素経営を推進。30年度温室効果ガス46%削減(13年度比)、50年カーボンニュートラルを目指す。併行して粗鋼生産量年100万トン(現在60万トン)、シェア10%(同5%)が目標。これまで電力費の関係で夜間操業に偏った経緯から昼夜兼行で4直3交代の操業も考えられる。生産性が一段と向上する見通し。高炉が厚板の9割占める中で唯一電炉専業。高品質、小ロット、多品種、短納期に磨きをかける。新電炉で同業30社のダークホースになった。前回述べたように、名古屋の本社敷地7万坪に集約し、旧知の中山製鋼所(5408)と業務提携し再編の目玉。同社にとって60年に1度のドラマが始まる。2019年4月、財閥解体のくびきを払った日本製鉄(5401)もそうで日本の製造業が復活する場面。24、25年目を離せない。21中期経営計画の基本方針5つ。循環型社会への貢献(スクラップリサイクル)。成長戦略の推進。持続可能な基盤整備の推進。ESG/SDGs課題に対する取組の強化。さらに、中山製鋼所との業務提携推進。逐一実現する公算が大きい。戦後最大のチャンスがやってきた。
2024年3月期(連結)は、売上高676億円(11.4%減)、営業利益99億円(19.3%減)、経常利益98億円(20.5%減)、純利益67億円(21.9%減)に見直した。配当86円(期末56円)の予定。設備投資49億円(前期36億円)の計画。新電炉関連延べ70~80億円にのぼる。算命学によると、24年出番に備え呼吸を整える場面。不意の落ち込みに注意。27年にかけて最大のチャンス到来という。重松社長(67)は絶好調。オーバーワークに注意。30年にかけて新たな場面と出ている。同社にとっても、リーマンショック後連結最高益を更新した前期を初動に第二、第三波を期待できる。国内で高炉各社が相次ぎ電炉新設を打ち出す一方、九州と北海道のシリコンバレー着工を通じて半導体関連も復活のきっかけをつかんだ。ウクライナに続き中東でも戦争が始まり長期化。第3次大戦が懸念される中で製造業の国内回帰、ペントアップ(待機)・インバウンド需要増が見込まれる。ものづくりの基本といわれる粗鋼生産の回復によるものだ。中長期スケールが大きい。※5月8日発表予定の決算にご注目ください。