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企業レポート

安全の質高める 大宝運輸 8月17日  (2023.08.16)

次の100年を巡る反転 
2024年問題と暑さ対策不可欠
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  大宝運輸(9040)は反転。4~6月期減収増益。収支が好転した。エネルギー価格高騰や円安に拘らず荷動き回復と価格改定が主因。2024年問題一連の取り組みも2017年以来本格化。コールドセンターが黒字転換すると本物だ。支店(9)の幾つか走りが出ている。次の100年を巡るもので、103年前スペイン風邪(1918~20)のさなかに創業。1933年全国初の名古屋―東京路線免許を取得し、1996年上場企業に駒を進めた。図らずも今回コロナ明けと軌を一にした場面。中長期ビジネスチャンスとみられる。来年、物流の2024年問題対応が決め手。ドライバーの長時間・過重労働を規制するため適用される改正改善基準告示。4月以降、ドライバーの時間外労働上限が年間960時間となり、2030年国内の輸送能力が3分の1以上不足する見込み。同社にとって2017年9月愛知労働局長の是正指導が先鞭になった。同10月末改善報告書を提出。代表取締役中心に社内プロジェクト委員会を立ち上げ一部取引解除、荷待時間短縮要請、労働時間を日次管理できるシステム構築など実現可能な諸策を断行。指導直後10月に1ヵ月当たり100時間を超える時間外・休日労働を行った乗務職員ゼロ。やり切った旨述べた。来期以降プラスに跳ね返る公算が大きい。働き方改革を促すもので従業員の高齢化が進む中、乗務職員確保のため高卒採用、中・大型免許費用会社負担、週休3日制など対応活発。時間管理を徹底する一方、労働時間が減少し人員不足。同規制適用に課題が多いことも事実だ。しかし、行政指導で5年以上先行し、適正料金改定や配送曜日、時間帯、待機調整など組み合わせ全体で安全の質を高めている。ロボット点呼を先駆けて導入し対面と併用し運行前後2回実施。6月に4年ぶり物流フェスティバルを開催。車両点検、同知識、インボイス制度、救急救命・健康管理など真剣なやりとりが報告された。昨年12月から3ヵ月無事故というが、今期物損が多くこれまで11件発生の模様。8月から防止に発破がかかっている。現在、売上高が105億円(2008年3月期)をピークにざっと8割の水準。従業員や車両も肩を並べ反転の足場を固めた。WMO(世界気象機関)によると、今後5年世界の平均気温過去最高レベル。気候変動とエルニーニョによるもので、暑さ対策も安全を守る上で不可欠だ。
 2024年3月期(非連結)は、売上高83億円(5.7%増)、営業利益2億6000円(10.7%増)、経常利益2億7000万円(5.5%増)、純利益1億6000万円(4.4%減)の見通し。配当100円(中間50円)の予定。概ね計画線という。算命学によると、2023~24年「うだつを上げる」場面。頑張りが実り始める。2030年運気好調でこの上ない。小笠原社長(54)は2023年エネルギー全開。内面の視野を広げ解脱へ向かう。ともに中長期よし。当面2024年問題と5年続きの暑さ対策が安全の要。103年前と遜色ない展開が予想される。直近の時価総額27億円。純資産63億円だけに中長期相当な水準訂正が見込まれる。

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