事業100年動き出す
自動車用フィルター受注拡大
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エイケン工業(7265)は活況。踊り場を抜け出した。主力の自動車用フィルター受注拡大によるもので、相次ぐ生産増強に拘らず手一杯の状態。ポストコロナを先取りしている。昨年3月からFRBの利上げ本格化。日本もインフレに巻き込まれウクライナ危機長期化と相俟って正念場を迎えた。半導体不足に伴う新車の落ち込みと中古車人気が顕著で、中長期ハイブリッドやEVがガソリン車に取って代わるといわれ国境を越えた生存競争。原材料やエネルギー、人件費などコスト上昇も目立つ。それでも国内で抜け出し海外でも欧州、東南アジアの引き合いが根強い。2017年10月6億円投入した第8工場に続き北側隣接地2000坪を取得したものの2の矢、3の矢が不可欠。もう一皮むける。16年2月ヤマシンフィルタ(6240)と業務提携。18年4月トヨタ紡織(3116)から品質優秀賞を受けた経緯もあり、打てば響くところにきた。3年前述べたように、ヤマシンが建機から総合フィルターメーカーを目指し、トヨタグループもCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)の一環。フィルターエレメント業界再編につながる。同社は17年8月50周年を境に新体制。早馬社長(66)によるもので次世代のリーダー7人が10年後の布石。事実、フィルターやバーナのほか新事業開発に取り組んでいる。一例がガレージサウナ。何より自由な発想が取り柄という。60、70周年に向けて新事業立ち上げが課題とみられ、ガソリン車が消えてなくなる道理もない。国内のガソリンスタンドが1994年度6万0421をピークに2021年度2万8475に減る一方、充電スタンドは09年を振り出しに22年8月8000に過ぎない。10、20年インフラ整備にかかる見込みだ。新興国のエンジン車ニーズが強い上、所得増に伴う更新需要から部品も伸びるためだ。行き過ぎた脱炭素化にひきかえ、同社のように10~20年スパンなら地道な改良改善に分がある。御前崎市唯一の上場企業でトップも地元出身。社員約250人のうち4割女性。隣接する牧之原市出身の日銀総裁が決まり盛り上がっている。経産省が「自動車新時代戦略会議」でCO₂を2050年90%削減(2010年比)を打ち出す一方、2050年でも7割内燃機関といわれ改良改善が先決だ。
2023年10月期(非連結)は、売上高71億7200万円(3.1%増)、営業利益3億4000万円(0.2%増)、経常利益3億7000万円(1.3%増)、純利益2億5800万円(6.0%減)の見通し。収益認識に関する会計基準を加味したもので、価格改定を含め後半から来期にかけて持ち直す公算が大きい。フィルター約95%、燃焼機器同5%の構成。第3の柱が見ものだ。電力需要増大とエネルギー・原材料高騰から浜岡原発再稼働も視野に入った。24、25年あらゆるピンチがチャンスに変わる場面。エネルギー全開と見た。ヤマシンと同運で興味深い。トヨタ紡織との関係も気になる。実質無借金(前期末自己資本比率80.1%)で、バブル崩壊(1990)、リーマン危機(2008)、東日本大震災(2011)、台風24号(2018)も乗り切った。オーナーや地元と一体になった事業が100年に向けて動き出す。※6月5日発表された決算にご注目ください。