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企業レポート

23年が天の時 中部鋼鈑 12月6日 (2022.12.05)

新電炉で生まれ変わる 
東証上場申請しTCFD提言賛同
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 中部鋼鈑(5461)は連結好調。上々の折り返し。後半も確りだ。9月22日の修正発表によるもので、厚板の販売数量が在庫調整により伸び悩む一方、主原料の鉄スクラップ価格が予想を下回り採算好転。通期大幅増益の見込み。配当70円(当初35円)を明らかにした。23年度予定している環境対応型新電炉導入を視野にアップデート。60年ぶり生まれ変わる見通しだ。21年度スタートした中期経営計画に基づくもので、循環型・脱炭素社会に貢献し品質向上を目指す。昨年3月、日本製鉄(5401)が30年を目安に大型電炉をつくる旨表明し、鉄鉱石と石炭由来の高炉メーカーに火がついた。電炉によるCO₂排出量が4分1に減るためで世界の大勢。日鉄の電炉が稼働すると東京製鉄(5423)を上回るためで同社然り。厚板の9割高炉が占め影響も大きい。名古屋の本社敷地7万坪に集約し、旧知の中山製鋼所(5408)と業務提携し同計画の目玉になった。電力原単位15%、騒音低減10%、ダスト20%減など合理的な設計で経産省が先進的省エ投資促進事業と認定。立案から10年越し実現に向けて動き出した。23年6~8月工事、同9月本格稼働の運び。現状60万トンが80万トンにスケールアップ。数年後、3大都市圏でシェア拡大が見込まれる。経済正常化により製造業の国内回帰、インバウンド増加が予想され、インフレも後押し。製品の品質と価格が折り合えば中長期100万トンも考えられる。日鉄には22年以降姫路の広畑や合弁で米国アラバスで新電炉案件があり、将来ハイテン(高張力鋼板)、超ハイテン、EVのモーターに使う電磁鋼板をつくる狙い。その点、新電炉が先駆けとみられ30年まで助走段階。同社が最新鋭装備で無人運転に成功すると国内外波紋が広がりそうだ。50年にCO₂ゼロ、コークスの代わりに「水素製鉄」も伝えられ製法が一変するという。
 2023年3月期(連結)は、売上高782億円(21.4%増)、営業利益94億円(69.2%増)、経常利益同(70.1%%増)、純利益61億円(61.1%増)に見直した。期末配当50円の予定。22年、23年が同社の100年(2050)を左右する旨間違いない。新電炉稼働によるものでグループ全体アップデート。中山製鋼所に供給拡大もポジティブな材料。3大都市圏に原料供給や販売先を持ちコストパフォーマンスも理に適っている。同社の運勢によると、23年夢が現実になり27年最大のチャンス。重松社長(66)は22,23年調整運。あるがまま受け入れ殻を破る場面。さなぎから蝶に変身するという。天も味方についた。9月21日、東証上場申請。改めて1962年に当時世界最大、現在でも日本最大級の200トン電炉を持ち、2003年製鋼・圧延工程を直結したスラブ(鋼片)連続鋳造機を導入。小ロット、多品種・短納期ニーズにこたえ、高品質の製品を提供している旨変わりない。11月1日、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明。持続的な社会価値創造と中長期的な企業価値向上に取り組むという。23年が天の時。地の利、人の和もそうだ。28日以降、名証プレミアのほか東証プライムにも上場される。※4月28日発表された決算にご注目ください。

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