正念場迎え新体制 セリア 11月29日 (2022.11.28)
徹頭徹尾100均死守
困難乗り切るとシェア上昇に弾み
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セリア(2782)は正念場。計画を下回る折り返し。22、23年潮目とみられる。10月31日の修正発表によるもので、巣ごもり需要の反動と急激かつ大幅な円安が主因。コロナに続きウクライナ危機も長期化しており、抜本的な収益改善を迫られた。業界大手が続々110円から1100円(税込み)まで価格帯を引き上げ新業態に移行する一方、唯一110円均一(同)を表明し徹頭徹尾死守する構え。困難を乗り切るとシェア上昇に弾みがつきそうだ。12期連続最高益を更新した矢先の調整。これまでの成功体験にとらわれず、経営理念「クリーン、感謝、共有」の集約に磨きをかける。商品開発・店舗運営、取引関係、職場環境など一線を越えるもので、設立当時(1987)、リーマンショック(2008)に次ぐ試練。上場(2003)を通じて人材が育ち、前期末の純資産924億円(自己資本比率75%)。「失われた30年」といわれるデフレ・リフレに置かれ、10年で倍々ゲームの成長。困難を吸収できる見通し。業界大手4社の店舗8400(22年2月末)、市場9500億円(21年度)といわれ、1万店と1兆円が目安。百貨店やスーパー、コンビニ、ドラックの変遷に沿ったもので量より質の段階。同社の営業利益率(前期10.05%)が物語っている。国内の小売業平均が3%足らずでダントツだ。11月17日、米10年債と同2年債利回り格差-0.66%が40年ぶりなら、翌18日国内CPI(消費者物価指数)+3.6%も40年ぶり。22、23年米国が逆イールドでデフレ、日本はアベノミクスの巻き戻しでインフレに向かい対極。業界で価格帯引き上げと100均死守の関係に似ている。前回述べたように、商品の9割共同開発、店舗の販売データを共有し過剰生産や在庫、コストなど事前に問題解消。4月オープンした銀座店も堅調という。中期経営計画(22年4月~25年3月)で多様化するニーズを捉える商品開発、戦略的出店によるシェア拡大、オペレーション効率化を経営目標に掲げ本格化。一時的に収益低下が見込まれるものの営業利益率5%以上を確保。残存者利益を獲得し最終的に現行以上のレベルを目指すという。
2022年3月期(非連結)は、売上高2140億円(2.8%増)、営業利益150億円(28.3%減)、経常利益同(29.7%減)、純利益100億円(30.1%減)に見直した。配当70円(期末35円)を据え置く予定。設備投資70億円弱(前期60億円強)の計画。社運によると、23年エネルギー全開。正統派で伝統を重んじ過去を大切にする星。内面の視野を広げ解脱に向かう。河合社長(55)は23年夢が現実になり、27年人生最大のチャンス。つまり、天が円安やインフレに拘らず「100均」を通せといっている。デフレの象徴といわれるビジネスモデルが岐路を迎え、サイズや数量変更で対応できなくなった。米国で1ドルショップを展開するダラー・ツリー。21年11月標準価格を1.25ドル(当時約168円)に引き上げ、35年続いた1ドルを破り一息ついている。この上、米利上げがピークアウトしても実質金利高水準。採算確保がやっとで株価も上値が重い。日本でも相次ぐ値上げを受けて100均ライバル企業の閉店が増加するとみられ、300~1000円に価格帯を上げても他企業と競合し長続きしない。同社は今期営業28.3%減益に見直し、低原価商品の開発に傾注する意向。新体制に改めた。中長期よし。数年後楽しみだ。※1月31日発表予定の決算にご注目ください。