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企業レポート

最高益更新し一服 トランシー 6月24日 (2022.06.23)

国際複合輸送が活況 
相次ぎインフラ稼働し光明見出す
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 日本トランスシティ(9310)は青天井。前期連結最高益を更新し一服。中長期さらにピーク更新の見通し。主力の化学品・自動車部品・消費財物流中心に国内と輸出入の荷動き活発。コロナに続くウクライナ危機を受けてエネルギーはじめ一次産品価格上昇。世界レベルでインフレが見込まれるためだ。前期3度上方修正が物語るもので、投資総額120億円に伴う新中期経営計画(連結売上高1100億円、経常利益50億円)を実現し新たなステップ。中核事業の伸張・拡充を通じて営業基盤の強化・拡大、企業文化の確立・醸成、人財の確保・育成に取り組んでいる。日銀がイールドカーブコントロールに入った2016年以降、マイナス金利下の先行投資が実を結び前期の連結売上高1167億5000万円(15.4%増)、経常利益83億6800万円(58.2%増)と計画を上回る好決算。前期末の長短期借入金約300億円に対し支払利息同1億円余りに過ぎない。懸案の設備投資が峠を越し、償却負担(前期45億1600万円)が減益要因。しかし、2月に三重朝日物流センター(約140億円)、5月にも「亀山低温危険品倉庫」(同20億円)建設を発表するなど継続案件。リニア新幹線亀山、奈良経由説も根強く追い風。創業(1895年)来のビジネスチャンスだ。四日市港を基盤に羊毛・綿花、石油コンビナート、大型物流センターの時代からグローバルサプライチェーンの時代といわれる。前期目立った国際複合輸送関連の売上高315億4000万円(70.1%増)が典型。海上・航空輸送を代弁するもので活況を呈した。主力の倉庫が前年並み(422億2800万円)で港湾運送227億9300万円(7.3%増)、陸上運送189億6300万円(4.4%増)。その他事業も12億2500万円(23.2%増)と嵩上げ。10年先の初動とも受け取れる。ラオスの駐在員事務所やベトナム自社倉庫などアセアン物流と環境負荷軽減の事例も多い。1999年開港100年を記念して建てられた地上100mの四日市港ポートビル。2017年8月同ビルに本社を移転し逐一整備が進んだ。千歳町の旧本社跡再開発が次の100年を占うテーマに変わりない。
 2023年3月期(連結)は、売上高1140億円(2.4%減)、営業利益57億円(14.5%減)、経常利益69億円(17.5%減)、純利益49億円(12.5%減)と慎重な見通し。配当11円(中間5.5円)の予定。連続0.5円増配になる。設備投資47億1000万円(前期26億3600万円)の計画。22、23年踊り場とみられ足場を固めるところだ。日本港湾協会よると、国内各港湾のコンテナ取扱貨物横ばい。かって製造業の生産拠点で世界有数だったが、海外進出が進み中国やアセアンにシフト。東京、横浜、神戸さえ世界39~67位(2019年)に後退した。直近、コロナ・ウクライナ危機でカントリーリスク拡大。製造業の国内回帰、インバウンド、円安など流れが変わりつつある。同社の場合、中期経営計画(2020年4月~23年3月)延べ120億円の設備投資でアップデート。相次ぎインフラが稼働し光明を見出した。運勢によると、時間と空間の神が力合わせ、全く新しい世界をつむぎ出すという。安藤社長(63)も同運で次第に拍車がかかりそうだ。国内のデフレと海外のインフレに折り合いがつかない場面。冷静に対応するほかない。7月1日付で生え抜きの女性経理部長が印象に残った。※10月31日、業績予想の修正に関するお知らせをご注目ください。

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