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企業レポート

急がば回れ 文溪堂 8月26日 (2021.08.25)

連結最高の滑り出し 
教育ICTハイブリッドで対応
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 文溪堂(9471)は尻上がり。4~6月期連結最高の滑り出し。中長期ビジネスチャンスだ。小学校2020年度・中学校21年度から新学習指導要領実施。コロナ禍、臨時休校を受けてGIGAスクール構想(教育ICT・1人1台端末)が23年度実施から3年繰り上がりてんてこ舞い。小中学校はじめグループ感染防止に追われながらピーク更新のスタート。フル稼働が続いている。通常、4~6月期に入・進学シーズンのほか1・2学期品や上刊品、年刊品など一括計上。1年を先取りするもので、新たにGIGA関連3年分消化中。10年先の初動とみられる。多角化した学研HD(9470)やベネッセHD(9783)と一線を画し、創業来120年初等教育一筋。読み、書き、そろばんの寺子屋をルーツに学制発布(1872)から小学校を基底とする系統。2021年から20年の出生数統計史上最低(84万832人)がベースになっている。1949年(269万7000人)をピークに3割の水準。にも拘らず、連結最高のスタート。中長期楽しみだ。上場来33年。新規採用が地元のほか東西でも人口動態によるボーナス期。10年後ピークを迎える見通し。上場当時から教育ICT(情報通信技術)導入で知られ、水谷泰三社長(64)が事業本部長歴任。蓄積したデータをベースに紙と共存するハイブリッドシステムに活路を見出した。QRコードによる企画が受けている。小学校を足場に中学や高校向けの家庭科教材も新たな手掛かり。全国レベルでシェア上昇につながる。西日本に強く、地元そこそこ東日本上昇中という。コロナ禍、GIGAスクール構想3年繰り上げに仰天。文科省が「1人ひとり個別最適化され創造性を育む教育ICT」を能書きにパソコンを配布しても、教員の間で使い方がわからないのが現状。どんな授業をすると何が可能になるか手探り状態。肝腎の中身が文科省でなく経産省の別プロジェクトで検討中という。それでも、同社のICTが20年以上先行し現場をリードしていることに変わりない。中国の教育産業が共産党指導部の規制により打撃を受け国の管理下に入ったのと対極にある。業界にとって少子高齢化に伴う市場縮小、制度や変化に対応できる人材、デジタル化に伴うアップデートなど喫緊の課題。しかし、コロナ感染拡大に伴う新たな生活対応を受けて補正予算4610億円計上。21年3月末、ほとんどの自治体で1人1台端末・高速通信ネットワークを実現。手探りが始まった。10年後、様変わり。ハイブリッドな日本式が脚光を浴びる見通し。寺子屋をルーツに学制から小学校を基底とする系統がモノをいう。
 2022年3月期(連結)は、売上高131億6000万円、営業利益8億3000万円、経常利益8億8500万円、純利益5億4700万円の見込み。配当38円(中間19円)の予定。期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)を適用するため増減率を記載していない。急がば回れの印象を受けた。同社の場合、一代運で今年じっくり計画を練る場面。会長(73)と社長が上昇運に乗り先行している。人口動態によるボーナス期がこれから10年続く。その後10年も見ものだ。※5月13日発表予定の決算にご注目ください。

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