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企業レポート

後半さらに改善 ヨシタケ 8月11日 (2021.08.10)

ピンチがチャンスに 
10年前タイ新工場稼働と似たケース
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 ヨシタケ(6488・JQ)は4~6月期連結確り。後半さらに改善する見通し。コロナ禍、前期2度上方修正。今期も予想より数量が落ち込まず、大幅に値上がりした銅や鉄など9月以降価格転嫁が見込まれる。ピンチがチャンスに変わり始めた。10年前、記録的なタイ洪水でアユタヤの連結子会社YWT(ヨシタケ・ワークス・タイランド)が冠水。全体の半分失いながら僅か1年でチョンブリ新工場が稼働したケースと似ている。従業員4分の3アユタヤに残り、4分の1が約170キロ離れた新天地に引っ越し。半年後安定した品質のバルブを生産しユーザーに届けたという。オーナーの英断によるもので、環境負荷の少ないソーラーパネルを設置。在庫4億円分保管できる新倉庫も10年後の布石。7日、バンコクで政府の感染対策やワクチン調達を巡りデモ隊約1000人と警察の衝突が伝えられ、同じ国と考えにくい。省エネバルブで流体を制御。環境保全にこだわっており、社員1人ひとり裁量権を認め若いうちから仕事を任せているという。設計をはじめ全行程にかかわるのが魅力といわれ、全国からユニークな学生が集まっている。本社が創業の地(名古屋市瑞穂区)で研究開発・実証テスト小牧、すべて製品化するタイが中長期一大拠点。コストパフォーマンスによるものだ。タイの敷地が東京ドーム3杯分あり、建屋3分1に過ぎない。YWTのおかげで企画開発、金型設計、鋳物、切断、組み立てまで一気通貫のモノづくり。水蒸気の自動制御バルブ中堅で異彩を放っている。コロナ後、国内のほかアセアン・中国・米国など市場拡大が予想され出番待ち。無借金で配当利回り3.10%、PER11.12倍、PBR0.58倍など明らかに割安だ。3月31日を基準日に1株を2株に分割している。
 2022年3月期(連結)は、売上高67億円(7.0%増)、営業利益5億4000万円(18.3%増)、経常利益8億3000万円(6.7%増)、純利益6億3000万円(7.4%増)の見通し。上方修正を期待できる。配当17円の予定。設備投資前期(2億2400万円)並みという。喫緊の課題6つ。新型コロナ感染症のリスクコントロール、TV会議システム等を活用した遠隔営業やミーティングの推進、取扱製品の拡充とパッケージ販売の多様化・シェア向上、主力製品の強力な原価低減推進、自動・省人化・省エネ・安全性向上・環境改善活動の推進。開発期間の短縮。一段と締まってきた。戦前の創業(1944年)でライバルと棲み分け。にも拘らず、2021年全て整理整頓。22~23年仕込みにかかっている。山田社長(52)も同運で正念場。日本の場合、コロナより経済の落ち込みが大きく、同社のように1年でタイ新工場稼働までいかない。経産省の鉱工業生産予測指数によると、7月前月比1.1%プラスに対し8月1.7%プラスの見込み。リバウンドが一巡し後半伸び悩みだ。五輪・パラリンピックの反動もあり民間建築の落ち込みが目立つ。しかし、同社は標準品でなく空調や暖房など蒸気配管用バルブが主力。ピンチがチャンスに変わりない。

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