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企業レポート

瀬戸新工場に仰天も 日東工業 3月17日 (2021.03.16)

コロナ前の水準を確保 
緊急事態宣言が解除され動意含み
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 日東工業(6651)は連結確り。第3四半期まで概ねコロナ前の水準を確保。一段と締まってきた。昨年10月26日と2月8日の上方修正によるもので、想定した落ち込みに至らず年度末追い込み。新年度の助走とも受け取れる。第3四半期累計によると、主力の配電盤関連製造事業(11.8%減収)と電子部品関連事業(10.6%減収)の不振を情報通信関連流通事業(29.1%増収)で吸収。採算の改善も目立つ。2020中期計画フェーズ3に相当し、前期実現したものの着地が決まらないためだ。同計画こそコア事業競争力の追求、グローバル化、新規ビジネスの展開を骨子とするもので中長期の目玉。2008年リーマン危機に見舞われ、12年太陽光関連製品の売上伸長を足場に13年サンテレホン・南海電設を子会社化。19年北川工業子会社化により連結経営が地についた。標準品市場でキャビネットシェア№1、配電盤№2のほか熱中症対策として学校空調関連も増加。情報通信関連事業では大型オフィス移動やデータセンター案件増が手掛かり。電子部品関連事業で自動車向け電磁波対策用EMC関連製品も見逃せない。コア事業競争力が対応型・標準品ビジネスの連動によるもので最適化を追求。グローバル化でシンガポール子会社を同国とマレーシアに展開。コロナ後黒字定着が先決という。タイ合弁子会社がエレットの隣に新工場を建設した。新規ビジネスでも「デジタルグリッド」や「ノバルス」などスタートアップ企業と連携し前向きだ。さらに、既存工場フル稼働の現状から20年3月愛知県瀬戸市に200億円投入し新工場建設。敷地約25万㎡でオーナーゆかりの地。24年4月稼働を目安にAIやIoT、DX(デジタルトランスフォーメーション)を網羅。老朽化した名古屋工場を移転し配電盤関連のスマート工場を目指すという。20年3月栃木野木工場隣接地約8万㎡を取得し、情報通信機器を収納するシステムラックなど部品から完成品まで一貫生産。将来、南東北から首都・関東圏を集約する物流拠点に生まれ変わるという。このため、モノづくりのほかヒトづくりとファンづくりが黒野社長(61)の使命。会社が22~23年調整運にひきかえ、21年自信を持って行動すると諦めていたことも成功。自分の気持ちが未来をつくるという。
 2021年3月期(連結)は、売上高1355億円(2.8%減)、営業利益116億円(6.5%減)、経常利益119億円(1.1%減)、純利益75億円(6.8%減)と慎重。3月22日から1都3県緊急事態宣言が解除される見通しで物足りない。配当56円(期末36円)の予定。設備投資52億円(前期72億円)、償却37億円(同36億円)の計画。21~22年にかけコロナで待機していた個人消費や設備投資が出るとみられ動意含みだ。直近の時価総額約900億円。第3四半期の連結純資産947億円に対し95%の水準。予想利回り2.8%。EVやPHEVなど充電器シリーズも実積を積んでいるだけに見直される。瀬戸の新工場が稼働すると市場も仰天するに違いない。※11月5日の決算発表にご注目ください。

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