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企業レポート

生産性尻上がり セリア 10月23日 (2020.10.22)

100均路線を譲らず 
あたりまえ見直しコロナ後弾み
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 セリア(2782・JQ)は好調。2ケタ増収の折り返し。採算も好転している。コロナ禍、関連特需のほか休業店舗営業再開、ペントアップ(繰り越し)需要など7月31日上方修正。その後も予想を上回る推移。上期直営既存店累計104.0%(計画101.0%)に明らかだ。依然慎重で下期(同97.5%)も期待をもてる。4~6月期営業利益率が3年ぶり10%台を回復し「追い風参考」と受け流し。原価・販管費に在庫回転率も改善し「100均」のニーズが巷に浸透している。ライバル大手が逐一200円以上に価格帯を上げる一方、「100均」の価値極大化に傾注。同社の場合、商品の約9割メーカーと共同開発。2004年「リアルタイムPOSシステム」に続き、発注支援システムを導入。07年「カラーザデイズ」投入から本格的な展開始まった。売れ筋商品(約2万2000点)を絞り込み、在庫や従業員のシフト管理までデータ活用に一日の長。女性が最大の購買層だけに緻密な分析の積み重ね。洗いざらい「100均」に束ね、原価のほか人件費、賃借料、その他販管費の改善も経済合理性に見合うものだ。正社員比率が5%未満といわれながらパートを登用し実力本位。1店舗当たり売上高が伸びている上粗利も改善し、コロナ後弾みがつきそうだ。200円以上にない「100均」の品質と合理性が市場に受け入れられ、2019年度顧客満足度調査で東急ハンズ(5位)を抜いて3位。生活用品店/ホームセンター業種でカインズと並んだ。飽和といわれる市場で過飽和の粋。トータルほころんで見える。現在、高島屋(8233)の時価総額1450億円にひきかえ3370億円。さらにデフレを見越したものとみられ商品開発に余念がない。4月に立ち上げたサテライトオフィス(大阪市)やセルフレジ導入60台を数え、新たな日常に向けて対応強化に取り組み始めた。営業や物流も細かいところまで見直し生産性尻上がり。2017年3月期から毎期100億円以上純利益を計上している。今後、関東甲信越に北海道東北、関西や中四国など出店余地が大きくコロナ後攻勢。売上高2000億円が視野に入る。業界8000億円市場といわれ1兆円レベル目前だ。
 2021年3月期(非連結)は、売上高1928億円(6.2%増)、営業利益185億円(5.1%増)、経常利益同(4.6%増)、純利益127億円(5.2%増)に見直した。再び上方修正の公算が大きい。さらに5円増配し60円配当(期末30円)の予定。設備投資66億円(前期66億9100万円)の計画。波乱含みながら社運絶好調。油断大敵と出ている。河合社長(53)が出色で向かうところ敵なし。数年後夢が叶うと追い風。ご時世を味方につけた。地元の大垣共立銀(8361)が脱銀行路線に活路を見出す一方、同社は徹頭徹尾「100均」路線を譲らない。収益のみならず社会に貢献しているのも事実。ともに興味深い。社長は、これまでの「あたりまえ」を見直し、集中力を高め的確に対応するという。※ 1月29日に発表された決算にご注目ください。

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