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企業レポート

コロナ危機を吸収 太陽化学 9月1日 (2020.08.31)

稼働率平常時と同水準
11月米大統領選を境に後半岐路
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太陽化学(2902)は堅調。4~6月期(連結)10.9%営業増益。コロナ禍、異彩を放っている。昨年末発生直後から危機管理が動き出し、年明け立ち上げた新型コロナウィルス対策本部を軸足に本格化。延べ16回、リスク管理バージョンアップによるもの。3月27日、東京本社従業員1人が陽性と判明し、国内外の拠点で感染防止に拍車がかかった。入手可能な外部データや議事録を検証し、4~6月期平常時と同水準の稼働率に漕ぎつけている。日本のGDPに限れば、年率27%減(米国32%減)の非常事態。リーマン危機と一線を画しPLだけ蒸発。回復もV字型どころかL字型といわれ、世界中で鉄道や航空、自動車会社まで国有が取り沙汰される7~9月期。まるで動じない。第2・3波に備え手綱を締めているためだ。事実、前期連結最高益を計上し初の53円配当(9円増配)実施。化粧品やトイレタリーなどインターフェイス事業(9.2%営業増益)が原動力という。食品の境界・接点など泣きどころを解決するものだ。アグリフード事業(40.8%営業増益)も貢献している。4~6月期連結3.8%減収だが、不要不急の販管費10.3%改善。底入れした。7月伝えられたのがコロナ対応洗浄に界面活性剤の提案。経産省が5月28日流したアナウンス「洗剤に含まれる界面活性剤が効果的」を受けたもので、ポリグリセリン脂肪酸エステルのうち洗浄成分「サンソフトM-12JW」が好調という。洗浄のほか抗ウィルス効果も期待を集めている。再三述べた市場の変化に対応、グローバル化、品質管理、環境対応、人材育成、業務改善6項目の累積効果。4人に1人が研究開発(約130人)に携わり、営業の半分以上研究開発経験者。1986年の上場から30年余りエビデンス(科学的根拠)がベース。自前で研究開発型のソリューション(問題解決)に活路を見出した。しかし、コロナ後米国覇権が動揺し元に戻らない。紆余曲折のうちに市場原理が崩壊し、多極化(地域ごとにかたまり)の時代といわれる。食品業界を取り巻く環境も異常気象に伴う穀物や原料高騰、少子高齢化、消費増税の影響、食の安心安全確保など従来の延長上にない。同社の運勢によると、2020年波乱含みながら絶好調。気持ちに変化が現れるという。山崎社長(65)もこれまでの価値観を見直す年。自分を変えて吉。大器晩成型でエネルギッシュだ。1940年代石鹸を振り出しに食品業界で地歩を築き70有余年。今日、グローバル展開と化粧品原料の拡充に布石。コロナ危機でもう一皮むける場面を迎えた。これまで一度も経営危機の経験がなく手探り。11月の米大統領選を境に後半岐路。僅か半年で10、20年動くといわれる。
2021年3月期(連結)は未定。コロナ拡大により現時点で合理的な算定が困難という。しかし、底堅い。カテキンやテアニンのほか「サン・ソフトM-12JW」やエーテル型「サンイーサー・L-4 」の提案も強化。PLにBSも健全でコロナを吸収できる。※ 改めて2月8日に発表された決算にご注目ください。

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