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企業レポート

コスト競争力強化 中部鋼鈑 7月14日 (2020.07.13)

コロナ禍吸収巻き返す
国内最大級の電炉更新構想具体化
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 中部鋼鈑(5461)は底堅い。今、来期コロナ禍吸収。中、長期巻き返す構えだ。「18中期経営計画」によるもので、前期未達の販売数量60万トン(達成率83%)、コストダウン7億円(同39%)実現に意欲。このほか、連結経常利益40億円(同116%)、サブコア事業経常利益5億円(同110%)、配当性向25.0%(同120%)計5項目が対象。結果を踏まえ来期「新中期計画」に次の具体的な数値を盛り込む見通し。5月1日発表の今期業績予想が3月末立てた計画から大幅に落ち込むものの、7~9月期リバウンド入り。取り組み次第で半年、1年後鉄鋼業界挙げて大差がつきそうだ。2019年の国内粗鋼生産9928万トン。10年ぶり1億トンを下回り、上期コロナが終息しても20年8000トンを下回る見込み。国内6割、輸出4割といわれ高炉や電炉をとやかくいっても始まらない。直近、世界の粗鋼生産20億トンに対し中国10億トン。原料価格が高止まりする中で需給悪化。東京製鉄(5423)が7月出荷分から全製品値上げを打ち出す一方、鉄スクラップ一段安。ミクロ、マクロも踊り場とみられる。同社は厚板専業で日本製鉄42.7%、JFEスチール35.9%、神戸製鋼所11.0%に続き5.1%のシェア(2018年10月~19年9月)。独自の用途別受注によると、産業機械63.5%、土木・建築25.7%、販売者向け8.8%など現状。今後予想される国内外の競合に勝ち抜くためコスト競争力強化が不可欠。省人・省力化に電力や諸資材コスト改善に徹底して取り組むという。このうち、中核設備の国内最大級200トン電炉更新が目玉。操業開始58年を数え、改修を含め投資効果、生産体制、コスト、財務面の影響など地道な検討を重ねている。立案から10年越し。5月に創業70周年を迎え本格的に動き出した。バブル崩壊後の過剰設備が一番底。リーマンショックに伴う金融危機が2番底。2003年連鋳機更新からスクラップヤード増築、圧延工場増築、同基盤整備、圧延機ハウジング更新など次の大型投資の伏線と考えられる。中長期二段構えの電炉更新構想が動き出しOBも後押し。6月23日の株主総会でエールが送られた。主力の鉄鋼関連事業(前期94%)が締まると、サブコアのレンタルや物流、エンジニアリング事業を刺激。孫会社によるベトナムのエンジニアリング事業が次世代の鍵を握っている。
 2021年3月期(連結)は、売上高356億円(20.0%減)、営業利益21億円(54.8%減)、経常利益21億円(54.9%減)、純利益14億円(49.0%減)の見通し。配当18円(中間8円)の予定。設備投資未定(前期12億8500万円)。前期スプレッドが好転し経常利益46億5600万円(60.7%増)計上。期初予想を22.5%上回っただけに動じない。電炉最大手が1Q4割減益を打ち出し、7月28日、4~6月期決算発表が楽しみだ。社運が国運と同じで天性の働き者。2020年、向かうところ敵なし。数年後、夢が叶うと出ている。半面、重松社長(64)は大器晩成型でエネルギッシュ。今までの価値観を見直せという。面白い年になりそうだ。※ 1月29日発表された決算にご注目ください。

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