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企業レポート

層をなす若手の成長 岡谷鋼機 1月1日 (2020.01.01)

時代の変わり目に強い
単体のほか71の子会社が後押し
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 岡谷鋼機(7485)は底堅い。米中対立をしのぎ連結高水準。4Q追い込みに入った。昨年10月米金融緩和を境に12月マイナス金利解消、米中休戦など新たな手掛かり。年明け以降世界景気の反転が見込まれる。昨年11月創業350周年を迎え、中期計画Gih-2020(連結売上高1兆円、純利益200億円)射程圏。修正なしでやり切る構えだ。単体のほか国内外71の子会社が後押し。現地採用者を含む若手が子会社のトップを任され切磋琢磨。場数を踏み成長している。誰も知らない新年の行方をいち早く現場で探る仕組みだ。自動車関連の販売然り。30年以上前、国内でインテルの代理店となり漸くコネクテッドの世界になってきた。昨年4月の入社式で「この先30年どう使うか、よく考えて下さい」と社長訓示。率先垂範している。株式公開(1995年12月)から四半世紀。外部の刺激にもまれ若手が育ってきた。同族に甘んじることなく、株主の期待にこたえる上で収益の向上が目立つ。上場後10年国内、20年で海外拠点も30以上に増加。流通のみならず加工で稼ぐ体質に変わった。自動車関連をはじめ航空宇宙、5G関連など10年スパンのアプローチ。中長期で動いている。尾張藩御用達金物商をルーツとしながら、常に新商品・新規顧客と発破がかかる初物好き。進取の域でエノキアン協会(老舗企業の国際組織)でも別格の存在。このため、時代の変わり目に強い。幕末・維新の際、大坂(1862)と東京(1872)に支店を開設し輸入鉄の販売を開始。戦前・戦後の混乱にも岡谷合資会社と合併後(株)岡谷商店を設立(1937)。社名を岡谷鋼機に変更(1943)して乗り切った。今回、ホロスコープ(天体の配置図)で幕末・維新、戦前・戦後に匹敵する場面。変わらざるを得ない状況がさらに7年続く見通し。ポスト350周年・東京五輪をこなすもので、中期計画Gih-2020をやり切るのが第一。グローバル(海外取引の拡大)、イノベーション(技術革新)、ヒューマンリソース(人財育成)が基本テーマ。グループ一丸となった教育制度改革と人財確保が喫緊の課題という。女性管理職が3人誕生し話題になっている。規模が大きくなり1人の経営者で管理するのが困難になると、全ての社員が後継者となり1人ひとり会社を支える構図。どんな天災や人災にも耐えられる。幕末・維新で大坂・京都・江戸の豪商が相次ぎ破綻。戦前・戦後も財閥解体により事業接収が続出。同社は残った。今回、国内外連結従業員5079人単体684人(2019年2月期)の大所帯。層をなす若手の成長で連結最高益を目指す。ひところシリコンバレーで先端技術、昨年末イスラエルでも同等の技術収集を発表し斬新な印象。名古屋市中川区の倉庫を昭和初期の外観に復元し話題を集めた。
 2020年2月期(連結)は、売上高9000億円(5.1%減)、営業利益190億円(9.4%減)、経常利益230億円(8.0%減)、純利益160億円(3.0%減)に見直した。配当230円(期末120円)の予定。設備投資61億円(前期30億9300万円)の計画。生産性向上に余念がない。基幹システム更新のほか業務や子会社でIT化を進め採算の改善が見込まれる。2020年の社運によると、向かうところ敵なし。岡谷社長(75)も同運で数年後夢が叶うと出ている。9代目の岡谷惣助(1850~1927)が語り草。維新の動乱に時代の変化を見越した商いで成功。家業のみならず名古屋財界を後押し。旧愛知銀頭取や貴族院議員でも活躍した。現社長はひ孫にあたり似たようなポジション。直近、社債格付けがAマイナスからAに上がった。

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