数年後に苦労実る 大同メタル 12月19日 (2019.12.18)
後半巻き返し底固め
自分の代で新しい流れをつくる
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大同メタル工業(7245)はあく抜け。後半巻き返し。底固めに入った。9月17日内部統制報告書を提出し、2020年3月期の第2四半期(累計)連結業績予測の修正を行った。新中期計画(2018年~23年度)2年目。11月4日創業80周年を迎えた矢先、何が起きても乗り切る構えだ。米中対立長期化による自動車関連軸受の伸び悩みが主因。建機・一般産業向け非自動車用軸受も追随、船腹過剰が続く中で舶用軸受底入れが明るい材料だ。米中第1段階合意が伝えられ、最悪のシナリオが回避されたのも支援材料。すべり軸受全分野世界トップを目指す同社にとってシェア上昇につながる。前期から自動車中心にトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑技術)全域の既存事業ブラッシュアップ(磨き上げ)本格化。前回述べたように、IEAの調べで内燃機関を必要とする車が2035年まで増加する見通し。気温上昇2℃以内とEV普及を加味したもので、HV(ハイブリッド)やPHV(プラグインハイブリッド)も対象。グローバルマーケットシェア(推定)によると、同社の自動車エンジン用半割33.1%、ターボチャージャー用24.0%。舶用低速ディーゼルエンジン用54.0%(2018暦年ベース)ともに世界トップ。舶用・産業用中高速ディーゼルエンジン用、ポリマー軸受も強い。新中期計画前半で既存事業ブラッシュアップに成功すると、新規事業や基盤確立、組織活性化など促す運び。後半巻き返し、底固めが前途を左右するわけだ。新規事業の創出・育成を目指し2020年2月EV向けアルミダイカスト製品をタイ子会社で立ち上げる計画。このほか、欧州で風力発電用特殊軸受生産を検討中。カルム(アルミ粉末を独自の方法で焼結した多孔質板)拡販もユニークな試み。自動車部品で蓄積した技術を吸音材に応用し、国が認定した不燃材になった。東京五輪の水泳会場アクアティクスセンターに採用される。ランディングギア(着陸装置)を口火に航空機産業参入も新たな材料。JISQ9100(航空宇宙・防衛産業に特化した品質マネジメントシステムの国際規格)を取得した。バイメタル・精密加工・表面処理技術がベース。世界15ヵ国42拠点(国内16拠点)がグローバルネットワークに組み込まれた。独立独歩で闊達な社風だが、2020~21年調整運。CEOも同運で底固めに尽きるポジション。この時の苦労が数年後に実るという。初代運の会社。自分の代で新たな流れをつくる。
2020年3月期(連結)は、売上高1001億円(7.1%減)、営業利益45億円(16.1%増)、経常利益44億円(33.6%減)、純利益48億円(16.1%増)を発表。80周年記念5円増配。35円配当(期末15円)の予定。2020年3月期の設備投資額予想は92億円(前期72億7300万円)、償却同(同85億2800万円)の計画。むしろ、内部統制報告書(5期分)提出から引き締まった。11月発表した取締役と従業員持株会向け株式報酬制度にインセンティブ(外部刺激)もうかがえる。90、100周年の布石になりそうだ。80周年を記念し、同じく創立80年を迎えた名古屋大学工学部工学研究科に教育環境整備のため寄付している。