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企業レポート

じわりシェア上昇 カネソウ 12月12日 (2019.12.11)

持ち越した反転実現 
これから2年次の100年がテーマ
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 カネソウ(5979)は小確り。後半尻上がり。持ち越した反転が実現する見込み。前期踏み切った価格改定が主因。推定5~10%とみられ2Qから浸透。年度末、来期フル寄与し採算の改善が表面化する見通し。五輪需要が一巡し設備投資の落ち込みも伝えられるが、政策効果や都市部中心に再開発案件が底堅いためだ。半面、人件費や材料、物流費などコスト上昇も事実。生産性向上を計り、製品ごと収益の確保に取り組むという。1992年度84兆円をピークに2019年度の建設投資62兆9400億円(3.4%増)。政府21兆6300億円(4.5%増)、民間41兆3100億円(2.8%増)が現状。今となれば比較的恵まれており、バブル崩壊30年・リーマンショック10年をしのぎ残存者利益の域と考えられる。「東の川口」に対し「西の桑名」と呼ばれる鋳物の2大産地。ひところ200を超えた工場が現在30足らずで古参の一角。目下、1922年の創業から数年後。世界恐慌前後に匹敵し、創業者の苦労がしのばれる。1950年に急逝し、現名誉会長(91)が22歳の若さで事業を引き継いだ経緯も並み外れたもの。戦後第2の創業時代を迎え、住宅環境整備をテーマに建設用鋳鉄機材メーカーを目指した。ルーフドレンやマンホール鉄蓋、ピット金物、ステンレス製グレーチングなどヒット。1979年、創業者の「惣」に曲尺(かねじゃく)のマークをつけカネソウを屋号に設立。約3年研究の末、85年7月エキスパンションジョイントの販売を開始した。97年3月上場を果たし今日を迎えたわけで、2019年3月から26年4月まで世界恐慌当時に相当する場面。創業者が残した王道に順う精神を社是に次の100年が新たなテーマ。免震構造建築用エキスパンションジョイントをはじめ戦略製品の開発を進める一方、設計3D化や最新のIT技術を投入し業務改善に取り組んでいる。5月10日新任取締役を発表し、6月26日の株主総会で承認された。若返りによるもので難局を乗り切る構え。今期の売上高によると、鋳鉄器材19億5000万円(2.1%増)、スチール機材13億3000万円(同)、製作金物36億6000万円(3.7%増)など。2Q末純資産135億7900万円(自己資本比率87.6%)にひきかえ、時価総額僅か62億5000万円。予想配当利回りも3.45%になる。
 2020年3月期(非連結)は、売上高75億円(2.5%増)、営業利益3億5300万円(3.2%増)、経常利益3億1500万円(2.4%増)、純利益2億2000万円(10.2%増)の見通し。配当150円(期末75円)の予定。設備投資5億2000万円(前期2億3500万円)、償却3億1300万円(同2億7100万円)の計画。自動溶接設備一新が目玉で懸案の鋳造・加工が出番待ちだ。会社は運気好調で近藤社長(63)が2021年から長大運。これから2年、乱気流にめげず足場を固める時。じわりシェア上昇が見込まれる。

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