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企業レポート

順調な滑り出し 福島印刷 10月10日 (2019.10.10)

1Q黒字転換の公算も
事業100年構造転換急ピッチ
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 福島印刷(7870)は確り。前期上方修正し1円増配。順調な滑り出しだ。事務通知関連のIPDP(インフォメーション プロセシング データプリント)サービスが2ケタの高い伸び。前期の生産実績22億3800万円(15.2%増)、受注高21億0100万円(24.1%増)、販売実績も20億1600万円(22.3%増)と予想以上。消費増税に伴う心理的な影響が繰り上がった印象で今期続伸の見通し。通販はじめ販促関連のDMDP(ダイレクトメール データプリント)が過半を占め安定収益源。バブル崩壊とリーマンショックを通じて新たなビジネスモデルを見出した。ひと頃稼ぎ頭のBF(ビジネスフォーム)と企画商業印刷が全体の2割に相当し補完関係。昨年創業90周年を数え、事業100年にかけて構造転換急ピッチ。じり貧の印刷業界で売上高6期連続最高の行く末が興味深い。リーマンショックから10年余り。業務拡大に伴う設備投資旺盛。毎期売上高の約1割投入し、償却負担をこなして利益を出している。前期末の自己資本比率67.2%。同純資産47億9000万円に対し、時価総額22億5000万円に過ぎない。配当利回り3.5%だ。日本印刷産業連合会の出荷予想によると、2015年から20年にかけてトータル-1.5%。デジタル、高機能、ソリューション、アウトソーシング化。さらに、ビジネスモデルの進化が見込まれる。同社の場合、BPO(ビジネス プロセス アウトソーシング)の取り込みが決め手。前期顕著で企業内部の業務やビジネスプロセスを外部委託するニーズが広がっている。2016年2月に稼働した「さいたまサテライト」がユニークな拠点。提携先の廣済堂(7868)がさいたま市に持つ工場で自社の印刷機を回し遠隔操作。コスト競争をつけて首都圏の拡販に傾注。3年余りで逐一実績を積み上げた。独自技術によるDP(データプリント)中心のサービスを強化するため、さらに毎期8億円レベルの設備投資が続きそうだ。事業100年(2028年)の布石とみられる。前期、後半の追い込みが見事。決算の反動で赤字になる1Q黒字転換の公算が出てきた。
2020年8月期(非連結)は、売上高78億5000万円(0.9%増)、営業利益2億2300万円(42.9%減)、経常利益2億3600万円(41.0%減)、純利益1億6400万円(38.5%減)の見通し。配当12円(中間6円)の予定。景気下振れ懸念や業界の競争激化を受けて慎重だが、1Q黒字ならインセティブも上がる。半導体に似て設備投資が生命線。印刷物の価値を上げるためで、5Gが根を下ろす2020年から本格化。10年前の売上高50億円が80、90億円レベルまで視野に入った。1997年の上場から20年以上経過し人材も育っている。東京五輪後、2024年度上期をめどに紙幣一新を控え20年ぶり特需が見込まれる。会社は償却負担(前期7億1000万円)が響き調整運。下畠社長(64)も同運で踏ん張りどころ。1Q次第で前期のように上方修正も考えられる。

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