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企業レポート

最高益更新し一服 マキタ 10月1日 (2019.09.30)

自動車同様電動シフト 
全製品コードレス・脱エンジン化
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 マキタ(6586)は底堅い。前期連結最高益を更新し一服。反転待ちだ。国内(1Q連結11.2%増収)にひきかえ、グローバルな円高と販管費増が主因。製品のコードレス・脱エンジン化に伴うもので、前回述べた数年延べ500億円の設備投資を打ち出し仕込みに傾注。一貫している。自動車と同様エンジンから電動にシフト。排ガス規制強化で拍車がかかった。世界の市場規模が電動工具2兆円、OPE(園芸機器)4兆円といわれ、エア工具やアクセサリ・アフターサービスも含まれるだけにビジネスチャンス。59年前に国産第1号の携帯用電気カンナを発売し、翌年伊勢湾台風復興特需に沸いて以来の巡り合わせ。当時注文が殺到し電動工具メーカーに脱皮。1963年から無借金となり折り紙つきだ。2005年、リチウムイオン電池投入を口火に充電式の普及急ピッチ。2000年にルーマニアと中国昆山に生産拠点を立ち上げグローバル化20年。地産地消をベースに1Q連結88.8%(前期同90.3%)海外生産。撤退が相次ぐ中でブラジル(設立1981年)、英国(同1991年)も稼働している。前回が60年なら今回100年に1度の構造変化とみられ、5Gに匹敵するポジション。ライバルが見当たらない上、1915年の創業来現場主義・アフターサービスに定評。次の100年もブレがない。米中対立や世界景気後退をしのぐもので、国内外頻発する自然災害にも待ったなし。復興や環境、人手不足など問題解決に取り組んでいる。コードレス製品に安全・利便・快適さのほか排ガス・騒音・燃費の改善など見込まれるためだ。2015年を境に60年前中興の祖といわれた後藤十次郎元社長のひ孫で後藤社長(44)をトップに新体制。全製品電池搭載を目指す仕込みに入った。職人の信頼にこたえ、一般消費者にもアプローチ。グローバルに地産地消を目指す。ひところ中国の拠点が世界生産の6割を超えたものの平準化。ルーマニアの健闘が目立つ。市場のコードレス化をリードしており、充電・モーター技術を中心に研究・製品開発力が課題。6月の株主総会、ポジティブな雰囲気で立て板に水。次の100年に1歩踏み込んだ。
 2020年3月期(連結)は、売上高5000億円(1.9%増)、営業利益720億円(8.1%減)、経常利益727億円(9.0%減)、純利益500億円(10.3%減)の見通し。中間配当10円。期末、連結配当性向性30%が基準(前期62円)。設備投資380億円(前期238億円)の計画。国内絶好調でシェア6割といわれる一方、欧米をはじめアジア、中南米、オセアニアに中近東・アフリカ伸び悩み。慎重に構えている。10月30日、2Q発表の予定。2ヵ月前に出た「充電式」高圧洗浄機、9月18日発売の充電式圧着機も市場ニーズに見合うもの。今年は慎重に事を運ぶのが筋。会長(72)と社長が強運だけに油断大敵だ。5Gの時代に米中対立をしのぐ現場主義のフロンティアがこだましている。

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